研究課題/領域番号 |
22H00459
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋市立大学 (2024) 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター (2022-2023) |
研究代表者 |
川内 大輔 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10400996)
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研究分担者 |
丸山 玲緒 公益財団法人がん研究会, がん研究所 がんエピゲノムプロジェクト, プロジェクトリーダー (60607985)
上阪 直史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70597624)
岩崎 真樹 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 部長 (00420018)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,160千円 (直接経費: 33,200千円、間接経費: 9,960千円)
2024年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2023年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
2022年度: 22,620千円 (直接経費: 17,400千円、間接経費: 5,220千円)
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キーワード | グリオーマ / マウスモデル / 小児脳腫瘍 / 神経活動 / PDX / 脳腫瘍 / 膠芽腫 / ニューロン / てんかん / DREADD / 髄芽腫 / 神経膠腫 / 脳内微小環境 / コネクトミクス |
研究開始時の研究の概要 |
脳腫瘍は主に脳細胞の遺伝子変異が原因で生じる疾患である。変異によって生じた腫瘍細胞は、自身の周りを都合の良い環境に変化させながら増殖・進展させる。そのため、脳腫瘍の発生原因の究明と新たな治療戦略の開発にむけて、腫瘍細胞とその周りの脳細胞のコミュニケーションを理解することは重要である。本研究では、独自の脳腫瘍マウスモデルと最新のオミクス解析、コネクトミクス技術を組み合わせた新しいアプローチにより、腫瘍-脳細胞のコミュニケーションの本態を可視化・同定する。それにより、周囲の脳細胞が腫瘍進展に与える役割を解明し、がんの発症機構、あるいは逆に脳回路の可塑性にまで踏み込んだ新しい脳腫瘍発生学を展開する。
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研究実績の概要 |
本研究では脳腫瘍とそれを取り巻く脳細胞、特にニューロンとの相互作用を明らかにし、腫瘍進展における影響を解明することを目的する。特に代表者が開発してきたヒト脳腫瘍を再現するモデルとして、BRAF活性型神経膠腫と膠芽腫、髄芽腫を用いる。腫瘍とニューロンの相互作用を解析するため、患者由来腫瘍移植(PDX)モデルと弱毒性狂犬病ウイルスを組み合わせた経シナプス性逆行標識システムにより、これまで報告されている膠芽腫への興奮性入力に加え、新規の細胞の相互作用が同定された。さらにDREADDを基盤とした化学遺伝学により、新規に同定された神経細胞をin vivoで人為的に活動されることにより、腫瘍増殖の変化が観察されたことから、神経伝達物質の種類に依存した腫瘍増殖の制御機構が明らかになった。一方で髄芽腫では膠芽腫異なる細胞の相互作用が観察され、腫瘍とニューロンの相互作用は脳の領域依存的であり、脳内微小環境に応じた異なる増殖メカニズムの存在が予想される。これらの脳腫瘍に関してもPDXモデルを駆使して、増殖メカニズムに関して膠芽腫モデルとの比較を行った結果、神経伝達物質の種類に依存した腫瘍増殖の増加が観察された。 一方で、BRAF活性型神経膠腫に関しては子宮内電気穿孔法でマウス大脳皮質にCreを導入することでBRAFV600E変異タンパク質を誘導したところ、生後4ヶ月までに腫瘍と見られる形態が大脳に観察され、脳波測定によりてんかん様の神経活動が顕著に観察された。このように、てんかん誘発モデルの樹立に成功し、来年度以降に相互作用する神経細胞を同定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた一細胞オミクス解析に従事する情報生物学研究者の来日が遅れたものの、モデル開発と化学遺伝学を用いた共同研究が順調に進んでいる。さらに予定以上の新しい脳腫瘍モデルの開発に成功しており、脳腫瘍の種類の違いによる増殖シグナルの相違点・共通点を解析可能な環境を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
相互作用を網羅的に解析する一細胞オミクス技術と弱毒性狂犬病ウイルスを組み合わせ、開発した脳腫瘍マウスモデルに適用する。さらに、空間的トランスクリプトミクスにより、神経細胞とがんが相互作用している領域とそうでない部位での違いを解析することで、より正確な結論を得る研究を推進する。
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