研究課題/領域番号 |
22H00460
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分51:ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
喜多村 和郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60423159)
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研究分担者 |
山崎 匡 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40392162)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2024年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2023年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2022年度: 14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
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キーワード | 運動 / プルキンエ細胞 / 2光子イメージング / ニューラルネットワーク / 2光子イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
柔軟かつ正確な行動発現とその獲得には、小脳のはたらきが不可欠である。小脳には、生理学的および解剖学的に同定される「ゾーン」と呼ばれる構造があり、その機能を知ることが行動発現の理解するために重要である。本研究では、認知運動課題遂行中のマウス小脳細胞活動を調べ、動物の行動に関する多種多様な情報が各ゾーンでどのように表現されているのかを明らかにする。さらに学習過程での変化を捉えることで、運動学習における小脳ゾーン構造の役割を明らかにする。これらにより、小脳の多様な機能を包括的に理解するための全く新しいモデルを確立する。
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研究実績の概要 |
登上線維活動が表現する行動パラメーターの符号化モデルによる解析を進めた。レバー引きタスクにおける5つの行動変数(レバー位置、レバー引き速度、レバー戻し速度、リック、報酬)を説明変数として、2光子カルシウムイメージングにより計測された個々のプルキンエ細胞の登上線維応答を説明するモデルを作成し、登上線維応答をよく説明することができた。応答パターンで細胞を分類したところ、8つの特徴的な型(クラスタ)に分類されることがわかった。個々のプルキンエ細胞の登上線維応答は1つの行動変数ではなく、複数の行動変数、特に、レバー引きとリック、レバー引きと報酬など異なるモダリティの情報を含んでいることが明らかとなった。登上線維は運動学習のための教師信号のみならず、多様な行動パラメーターを伝えていることが明らかとなり、複雑な行動の組み合わせを単一プルキンエ細胞内で学習していると考えられる。また、それぞれのクラスタに属する細胞は近傍に位置することが明らかとなり、小脳の機能単位であるマイクロゾーンと対応していると考えられた。これらの結果を、Communications Biology誌に発表した。また、実験により得られた登上線維応答パターンを小脳スパイキングネットワークモデルに導入し、データ同化シミュレーションを行った。登上線維刺激によって引き起こされるシナプス可塑性により、プルキンエ細胞の発火パターンが変化し、レバー引きの予測軌道に相当する神経活動が獲得されることを確認した。これは小脳内で順モデルが形成されるという従来のコンセンサスと一致している。 2mm四方の範囲の広視野を観察可能な対物レンズを新たに導入し、背側の小脳虫部あるいは小脳半球の大部分のプルキンエ細胞活動を同時に観察可能であることを確認した。今後、複数のアルドラーゼC帯とプルキンエ細胞活動の関係を明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに実験及びシミュレーションを進めている。修正に時間がかかっていた論文が発表された。
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に進展しているため、次年度も計画通りに進める。
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