研究課題/領域番号 |
22H00531
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
岡嶋 克典 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60377108)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,640千円 (直接経費: 32,800千円、間接経費: 9,840千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 19,630千円 (直接経費: 15,100千円、間接経費: 4,530千円)
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キーワード | 感性情報学 / 心理物理学 / 色彩工学 |
研究開始時の研究の概要 |
3種の錐体(L,M,S)、杆体、光感受性網膜神経節細胞(メラノプシン細胞)の5つの応答量をそれぞれ独立に制御可能な色刺激の分光分布を簡便に生成するための数学的アルゴリズムを開発・実装し、視野(網膜)全域においてカラーマッチングと色の見え評価の実験を行い、色知覚における杆体とメラノプシン細胞の影響を定量化し、網膜位置と刺激サイズも変数とする5原色の色彩理論を新たに構築する。また中心視では赤系の色に見えるが周辺視では緑系の色に見えてしまう「危険な光」の発生原因について色覚メカニズムの観点から解明し、安全な光の分光強度分布を設計する手法も確立する。
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研究実績の概要 |
3種の錐体(L,M,S)、杆体、光感受性網膜神経節細胞(メラノプシン細胞)の5つの応答量に加え、網膜位置と刺激サイズを変数とする5原色の色彩理論を構築することで、明るさ(エネルギー)効率が高くグレアが低い照明光の分光分布設計や5元測色値による異デバイス間の完全な色再現を実現することを目的としている。昨年度に引き続き、中心視における刺激サイズの効果についての追加実験ならびに定式化を進めるとともに、水平方向の偏心度を変えた光刺激を用いてカラーマッチングならびにカラースケーリング実験を実施し、その成果をまずは国内の学会で発表する。周辺視の刺激提示位置を精緻化させるためのアイトラッカーを導入した。また空間的パラメータだけでなく、時間的パラメータの重要性についても検討した。個人の分光視感度を推定する新たな理論と手法についても検討し、論文を執筆中である。また複数プロジェクタを用いた多原色2次元パターン表示装置を開発し、中心視におけるブラックネス(黒)と質感知覚におけるメラノプシン細胞の影響についても実験的に検討した。その際、多原色2次元パターン表示に関する理論や解析方法についても検討し、今後2次元パターンを用いた様々なメラノプシン研究の基盤を構築するとともに、カリフォルニア大学のWerner教授らとの国際共同研究を推進した。さらに、メラノプシン細胞がグレア知覚に与える影響についても解析し、その成果は英文誌に掲載され、照明学会論文賞を受賞した。またグレアに関する他の論文も投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり水平方向の周辺視での実験を開始した。中心視での実験結果については論文投稿中であり、個人差に関する論文も執筆中で近日中に投稿予定である。また、メラノプシンがグレア知覚に与える影響に関する論文が英文誌に掲載され、論文賞を受賞した。グレアに関しては他の論文も投稿中である。また複数プロジェクタを用いたブラックネス(黒)知覚の国際共同研究も開始し、その成果を国際学会発表の予定であり、論文も執筆中である。2次元パターンを用いた質感知覚の研究も開始した。さらに自律神経系との相互作用に関する実験の準備も開始した。今年度は当初の予定どおり垂直方向の周辺視の実験も開始できる見込みである。以上のことから、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、中心視と周辺視における刺激サイズの効果についての追加実験ならびに定式化を進めるとともに、提示時間の影響も含めた時空間的特性についても併せて検討する。また、水平方向だけでなく垂直方向等の偏心度を有する光刺激を用いて、周辺視における色知覚における杆体とメラノプシン細胞の方位依存性とサイズの影響の測定し、その結果を解析することで5原色に基づく測色学をさらに広い範囲の周辺視にまで拡張していく。さらに、複数プロジェクタを用いた多原色2次元パターン表示装置を用いて、中心視と周辺視におけるブラックネス(黒)知覚に加え、質感知覚や色のモード知覚等におけるメラノプシン細胞の影響についてさらなる実験的検討を続ける。また、自律神経の影響についての検討も進める。色知覚特性ならびに色覚メカニズムの個人差についても定量的に解析を行う等、色彩工学のための5元色彩学の構築に向けて必要な基盤技術を開発していく。
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