研究課題/領域番号 |
22H00540
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内田 誠一 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (70315125)
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研究分担者 |
北本 朝展 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (00300707)
中山 英樹 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (00643305)
牛久 祥孝 オムロンサイニックエックス株式会社, リサーチアドミニストレイティブディビジョン, プリンシパルインベスティゲーター (10784142)
柳井 啓司 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20301179)
大町 真一郎 東北大学, 工学研究科, 教授 (30250856)
塩入 諭 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70226091)
黄瀬 浩一 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 教授 (80224939)
岩村 雅一 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 准教授 (80361129)
山本 和明 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (90249433)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2024年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
2023年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2022年度: 14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
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キーワード | 文字 / コミュニケーション / 生成AI / 機械学習 / デザイン / 古典籍 / フォントデザイン / 情景内文字 / 認知心理 / 自然言語処理 / 教育 / 障碍者支援 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では,多分野協働体制の下,文字を介したコミュニケーション基盤モデルの創成を目的とする.具体的には,文字を介した視覚的コミュニケーションを7階層に整理した上で,データに基づく情報学的手法群と,認知心理学やデザイン学などの各種専門的知見を組み合わせ,文字情報の生成・受理モデルを構築する.さらに同モデルを応用し,独特な文字コミュニケーションを前提とする領域(古典籍・教育・福祉・ナビゲーション)に貢献する.
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研究実績の概要 |
「文字を介した視覚的コミュニケーション基盤の創成」について予定通り,極めて多角的な研究を行った.画像情報学分野には,文字生成(ゼロショットフォント生成や敵対的文字サンプル生成,印象条件付き文字生成,アンビグラム生成),文字照合システム,文字スタイル分析,文字印象分析,情景内文字検出および認識,画像説明文生成,輪郭ベース文字認識・スタイル認識,高精度署名認証,などが挙げられる.教育応用および心理学関連については読字行動分析(読字検出や未知単語理解支援)や講義時の集中度分析を行った.視覚障碍者支援については,3Dプリンタ操作を具体的タスクとしてプリンタの操作ディスプレイに表示されるLCD文字の認識・読み上げに関して,どの内容をどの頻度で読み上げるべきかという,極めて実際的な検証を行った.古典籍分析についても,くずし字データ認識や,くずし字合成,さらにくずし字関連の文献学的考察などが挙げられる.多くの研究において最新の機械学習技術を利用もしくは新しい学習モデルを開発している点も,本プロジェクトの重要な実績と考える.2022年12月にはメンバーが対面で一堂に会し,「文字の集い」と題して,半日の発表会・情報交換を行った.同会にはドイツからタイプフェイスデザイナ(本プロジェクトの研究協力者)である小林章氏もリモートで参加した.(なお,小林氏は,タイプフェイスデザインで最も権威あるTDC Medalを2022年度に受賞した.日本人の同賞受賞は小林氏が初の快挙である.)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り,文字を介したコミュニケーションの様々なレベル・応用先において,網羅的に研究を進めることができている.また機械学習の急速な進歩は,提案時には予想できなかった新たなテーマの実施を可能にしており,ある意味「ポジティブな予想外」の事態も生じている.学会発表等の対外活動も順調である.また上述の「文字の集い」等の交流は,本プロジェクトにおけるコラボレーションの活性化に貢献した.
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今後の研究の推進方策 |
今後も,多様な視点で「文字」に関わっているプロジェクトメンバーが,各自の視点方向の研究を進化させつつ,同時に互いに情報交換やコラボレーションを行うという,重層的な方針で進める予定である.コラボレーションについては,すでにテーマ案も挙がってきており,2023年度はそれら案のうちいくつかについては実施する予定である. 本プロジェクトを取り囲む状況は,Diffusion modelやChatGPTに代表されるような人工知能・機械学習技術の著しい進歩により,今後も新課題への対応や見直しなども随時行っていく予定である.特にChatGPTは,ある意味で「文字情報を無尽蔵に作る」技術であり,何らかの形での「かかわり」を考える必要があるだろう.
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