研究課題/領域番号 |
22H00542
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
野間 春生 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (00374108)
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研究分担者 |
佐藤 克成 奈良女子大学, 工学系, 准教授 (00708381)
島田 伸敬 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (10294034)
秋田 純一 金沢大学, 融合科学系, 教授 (10303265)
泉 知論 立命館大学, 理工学部, 教授 (30303887)
大井 翔 大阪工業大学, 情報科学部, 講師 (40824636)
安藤 潤人 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (50899797)
寒川 雅之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70403128)
松村 耕平 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (80629600)
北野 勝則 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (90368001)
東山 篤規 立命館大学, OIC総合研究機構, 教授 (00118001)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,860千円 (直接経費: 32,200千円、間接経費: 9,660千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 触覚センサ / 人触覚 / AI / スパイキングニューラルネット / MEMS / 触覚 / ロボット / FPGA / Echo State Network / Tactile Sensor / Human Perseption / Robot / Haptics |
研究開始時の研究の概要 |
本研究提案では人工触覚技術を工学的に応用する新しいComputer Haptics領域をめざして、ヒトの触覚を模倣しながらヒトを越える人工触覚システムを開発し、さらにこのシステムを用いてヒトの触覚の仕組みの解明に取り組む。本研究ではこれまでに開発してきたMEMS触覚センサをコアとして、AIによるリカレント時空間次元圧縮手段をハードウェアで実装し、世界に先駆けて新たな人工触覚システムを研究開発する。そしてこれをロボット触覚に応用してシ ステムの有効性を評価すること、さらに翻って、ロボット触覚で得られる信号とヒトの触覚応答を比較分析してヒトの触覚の仕組みを考察する。
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研究実績の概要 |
ヒトの触覚は、対象物に触れながら機械的刺激を知覚することでその物体の細やかな形状や表面状態を触り心地として検出できる。本研究では触覚受容器から「知覚」する信号処理機構と、触覚を「認識」するための認識処理機構の2段構成システムによって、ヒトのように高速多入力処理可能な触覚信号処理システムの実現を目指す。本研究室において開発された人工触覚受容器である MEMS 触覚センサは、ヒトの触覚受容器に相当する密度で分布させることが可能なサイズを実現している。一方、先行研究におけるセンサの読み出し回路は、典型的なホイートストンブリッジを使ったアナログ回路であるが、この構成では、回路規模や消費電力の観点から対応できる触覚受容器数に限りがあった。これを解決するために、本研究では MEMS 触覚センサの抵抗値変化をデジタルパルスの密度として出力し、タスクや状況に合わせて再構成可能なパルスベースの触覚情報処理システムの開発を目指した。ここでは、まず Field Programmable Gate Array(FPGA) 上にデジタルパルスを用いる Spike Perceptron を構成し、MEMS 触覚センサからの入力を専用ハードウェアによって処理する基本的な枠組みを提示した。また、ソフトウェア上で学習した Multi-Layer Perceptron(MLP) のパラメータを Spike Perceptron に適用することで、その動作を確認した。加えて、各Spike Perceptron が非同期的に動作する Asynchronous Spike Perceptron をFPGA 上に実装し、MLPに限らずリカレント構造をもつ Echo State Network(ESN) といったより複雑なモデルをハードウェア上に構成し、同様に動作を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
FPGAでの触覚センサのパルス駆動回路、並びに、スパイク駆動ニューロンの開発を完了し、それを従来の階層型のニューラルネットワークとEcho State Networkで動作することが確認できた。基本構成としては今後はそのスケールアップであり、初年度としては大きな進展を確保できた。 また、別に進めるEcho State Networkを活用したネットワークでの触覚動作識別の結果を組み合わせることで、翌年度以降の計画を促進できる。
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今後の研究の推進方策 |
新たな検知素子として、圧電効果を導入し、計測性能を向上させると共に、それをニューラルネットワークに投入する手段を開発する。圧電効果については、協力機関からフィルム型の素子の提供を受けてこれをMEMS構造に組み込む。次に、信号の出力は一般的には電圧であるが、これを現状で開発を進めるパルス駆動に変換する回路の試作も進める。これらは抵抗型の検知素子と共に、パルス出力を可能として、その結果を後段の認識回路に投入するためのパルス-シリアル変換回路も開発する。次に、スパイク駆動のニューラルネット回路については、より大規模かつ入出力ピンを活用できるFPGAを用いて、大規模なリザーバーニューラルネットワークをハードウェアとして構築する。さらに,これらのハードウエアを活用して、対象物体のなぞり識別ネットワークを開発する。ここでは、個別の素材を認識する仕組みではなく、人間の認識結果を参考にした素材グループに識別すること、さらに未知の素材に触れた時に、人間同様に識別が可能となる仕組みを計量学習を用いて実装する。さらに、これらのニューラルネットワーク処理のなかで得られる中間特徴量と人間の感性を比較する研究も進める。
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