研究課題/領域番号 |
22H00550
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分62:応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
塚本 昌彦 神戸大学, 工学研究科, 教授 (60273588)
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研究分担者 |
森井 昌克 神戸大学, 工学研究科, 教授 (00220038)
喜多 伸一 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (10224940)
新川 拓哉 神戸大学, 人文学研究科, 講師 (20769658)
小澤 誠一 神戸大学, 数理・データサイエンスセンター, 教授 (70214129)
寺田 努 神戸大学, 工学研究科, 教授 (70324861)
塚原 東吾 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80266353)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,990千円 (直接経費: 32,300千円、間接経費: 9,690千円)
2024年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2022年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | スマートグラス / AI / プライバシ / 生成AI / 人工知能 / プライバシー |
研究開始時の研究の概要 |
スマートグラスと人工知能(AI)の組み合わせにより大きな生活革新が実現できる一方、プライバシ問題はより深刻になる。本研究課題では、プライバシを考慮したシステム・インタラクションデザインを設計する。具体的には、スマートグラスAIアプリケーションにおいて、カメラ、マイク、センサなどから周辺状況を把握し、AIメタエンジンでELSIを考慮してAIおよびプライバシ機構を制御する。AIエンジンは状況に応じて能力を変えたり、プライバシ機構の部分適用を行う。さらに、その機構が正しく動作していることを保証する機構についても考える。結果としてプライバシウェアラブルAIという新領域を切り拓くことを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、工学、社会科学の研究者の連携により、スマートグラスAI普及における将来のプライバシ要求を明らかにした。いくつかの具体的な応用を考え、プライバシ問題を検討すると同時にいくつかのプロトタイプシステムを実現し要求事項を抽出した。研究統括とメタAI(担当:塚本)については、システム全体の統括エンジンを作るために、問題分析及びシステム設計を行った。状況認識機構(担当:寺田)については、実世界での周辺・自己状況を認識するための要件を抽出しいくつかの認識機構を実装した。制御可能AIシステム(担当:小澤)については、プライバシに関わるAIの機能を制御し説明できるAIを作るために機構の設計を行った。プライバシ機構(担当:森井)については、プライバシを守るためのメカニズム構築のために、アプリケーションイメージ及びシステム要件を明確にした。科学技術社会的観点からの分析(担当:塚原)については、上記のアプリケーションイメージの具体化の中で社会の中での技術の使い方やあり方を考えた。心理的観点からの分析(担当:喜多)については、上記アプリケーションイメージの中で使う側、使われる側の心理を考えた。哲学・倫理的観点からの分析(担当:新川)については、上記のアプリケーションイメージの中でプライバシがどうあるべきかを考えた。 さらに年度後半のChatGPTやGPT-4などの大規模言語モデル(LLM)の出現によりAI技術が急速 に進歩したことで前提条件が根底から変化することから、全般的な計画の見直しを行った。 同時に、社会問題、倫理問題を体系化し、ガイドライン策定に向けた組織作りと運営方法を検討した。また、メンバー以外の人を交えたワークショップを複数回開催した。さらに講演会等で積極的にプロジェクトの紹介を行うとともに、プロジェクトのホームページとYouTubeチャンネルを立ち上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画に沿って研究を推進することができた。毎月1回程度の会合を行い、メンバー全員が連携しながらスマートグラスAIのプライバシ問題について検討した。いくつかの発表や講演などを行うとともに、スマートグラス関連、AIやセキュリティ関連のコミュニティとかかわることもできた。さらにWebサイトおよびYouTubeサイトを立ち上げた。 ただし、年度後半のChatGPTやGPT-4などの大規模言語モデル(LLM)の出現によりAI技術がめざましい進歩を遂げ、本研究課題で想定していた以上に社会に大きなインパクトを与える可能性が強まったことにともない、計画の見直しを行う必要に迫られた。特にアプリケーションイメージについては、新たなAIの強力な能力を踏まえ再考する必要がある。したがって、次年度以降も引き続き新たな問題検討を行いながら、並行して当初の計画に基づき研究を推進していくこととしている。
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今後の研究の推進方策 |
ChatGPTやGPT-4などの大規模言語モデル(LLM)による最近のAIの急展開を踏まえ、工学、社会科学の観点からスマートグラスAIの展開と新たなプライバシ問題を再検討する。LLMやそのアプリケーションをスマートグラスで利用する方法について検討し、プライバシ問題を焦点として検討を行う。AIの急激な成長・展開は今後も続くものと考えられ、問題抽出と要求整理は最終年度まで継続する。 研究分担者ごとの研究施策は以下のとおりである。研究統括とメタAI(担当:塚本)については、LLMやその応用をスマートグラスで利用する方法を検討し、基礎となるプライバシ技術を構築する。状況認識機構(担当:寺田)については、構築した認識機構の再設計や新たなLLMを用いた機構やアプリを実装し評価を行う。制御可能AIシステム(担当:小澤)については、LLMのスマートグラス(あるいはその準備段階としてスマートフォン)利用について検討し、アプリ開発とAI制御機構を実装する。プライバシ機構(担当:森井)については、引き続きプライバシを守るためのメカニズム構築とアプリ開発、実装評価を行う。科学技術社会論的観点からの分析(担当:塚原)については、スマートグラスおよびそこでのLLMなどの利用に関する社会問題について、ELSIを含めた観点から検討し概念をまとめてゆく。心理的観点からの分析(担当:喜多)については、LLMなどを含む新たなアプリイメージにおいて使う側、使われる側の心理問題を明らかにし、概念をまとめてゆく。哲学・倫理的観点からの分析(担当:新川)については、LLMなどを含む新たなアプリイメージにおいてプライバシがどうあるべきかを考え概念をまとめる。 社会問題、倫理問題の体系化やガイドライン制作に向けての組織づくり、ワークショップやシンポジウム、YouTube配信などの科学コミュニケーションも同時に進める。
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