研究課題/領域番号 |
22H00553
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分62:応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
亀田 倫史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (40415774)
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研究分担者 |
中道 優介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究員 (20751217)
齋藤 裕 北里大学, 未来工学部, 教授 (60721496)
森田 英嗣 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (70344653)
来見田 遥一 北里大学, 未来工学部, 助教 (80976762)
小林 海渡 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (31003957)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2024年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2023年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2022年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | 新型コロナウイルス / 機械学習 / 分子動力学シミュレーション / 進化予測 / スパイク蛋白質 / カロリメトリー / シュードウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
現在、新型コロナウイルスに対する創薬・ワクチン開発が世界で盛んに行われている。しかし、効果のある薬・ワクチンが開発されたとしても、新型コロナは進化が早いため、すぐに効かなくなってしまう。そこで、本研究では、分子動力学シミュレーションと機械学習を組み合わせた、蛋白質の物性変化予測法を構築する。この手法による予測データを利用したウイルス進化予測モデルを構築し、変異株に対するワクチン開発に役立てる。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルスが進化することで、ヒト細胞表面に存在する受容体蛋白質及び糖鎖への結合を強める可能性を研究するために、蛋白質複合体間の結合力を高速に見積もる手法を開発した。具体的には、蛋白質・蛋白質間または蛋白質・化合物間に外力を加えた系の分子動力学シミュレーションを実施し、その解離時間から結合力を見積もる手法を開発した。本手法を異なる3複合体に適用し、高速かつ高精度に結合力を見積もることができることを確認した。本手法について、論文を投稿し受理された。 並行して、様々な物質に対する新型コロナウイルス由来蛋白質の結合能をin vitroで測定する系を構築した。まず、新型コロナウイルス由来蛋白質を昆虫細胞系で発現させる発言システムを構築した。次に、得られたコロナウイルス由来蛋白質と蛋白質・糖鎖との結合力を等温滴定カロリメトリー(ITC)で測定する実験系を構築した。構築した測定系を用いて、新型コロナウイルス由来スパイク蛋白質(S1タンパク質)とヒト受容体蛋白質(ACE2)複合体に適用し、既報の測定値と同等の測定値を得ることができた。 さらに並行して、進化した新型コロナウイルスの感染能を、培養細胞を用いて測定する系の構築も行った。具体的には、レンチウイルスまたはレトロウイルスをベースとしたシュードウイルス上に新型コロナウイルス由来スパイク蛋白質(S1,2))を293T細胞で増殖させた後に、Vero細胞に感染させ、感染能を測定する系を構築した。本系を用いて、天然型(武漢型)及び様々な変異体(アルファ、オミクロン株由来など)を組み込んだシュードウイルスの感染能を測定し、既報のデータを再現することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蛋白質・蛋白質及び蛋白質・化合物複合体間の結合力を、分子動力学シミュレーションを用いて高速に見積もる手法を開発し、論文投稿を行った。進化した新型コロナウイルス由来の蛋白質変異体のヒト由来蛋白質へ結合力をin vitroで測定する系を構築し、正しく測定できることを確認した。進化した新型コロナウイルス由来の蛋白質変異体をシュードウイルスに組み込み、Vero細胞へ感染する能力を測定する系を構築し、正しく測定できることを確認した。以上のように、本年度はin silico、in vitro、培養細胞で測定する系の構築を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
順調に推移している。本年度は、新型コロナウイルス由来蛋白質の変異体群をin silico、in vitro、培養細胞で測定する系の構築を行い、3つとも既報のデータを再現することが分かった。今後は、新型コロナウイルス由来蛋白質が、ヒト由来ACE2受容体蛋白質や、ヒト細胞表面に存在する糖鎖に対する結合力を分子動力学シミュレーションを用いて予測し、得られたデータをもとに機械学習を行い、新型コロナウイルス由来蛋白質の進化を予測する。計算によって得られた予測を、本年度構築したin vitro及び培養細胞を用いた測定系を用いて検証していく。
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