研究課題/領域番号 |
22H00558
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福士 謙介 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 教授 (30282114)
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研究分担者 |
渡部 徹 山形大学, 農学部, 教授 (10302192)
大村 達夫 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 名誉教授 (30111248)
佐野 大輔 東北大学, 工学研究科, 教授 (80550368)
渡辺 幸三 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (80634435)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2024年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2023年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2022年度: 15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
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キーワード | 下水疫学 / ウイルス / アジア / 感染流行モデル / 環境 / 下水 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、都市内の感染者からの排泄物を受け入れる下水から、病原体を検出する下水疫学のアプローチにより、アジアの広域に人材育成を含む病原ウイルスの監視網を整備し、ウイルス遺伝子情報や疫学情報を国際的に共有する体制を構築する。下水から網羅的なウイルスの検出を可能にし、そこに含まれる未知ウイルスから人に感染する可能性のあるウイルスを機械学習で検出する技術も併せて開発する。下水疫学データに基づいて各都市の社会経済・気候やヒトの移動の特徴を反映した感染流行モデルも開発し、種々の感染対策シナリオのリスク低減効果を予測し、最適な感染対策シナリオを提案する。
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研究実績の概要 |
【研究項目1 広域アジアの下水調査に基づく多様な病原ウイルスの検出】タイにおいて現地カウンターパートと下水調査を行い、集中型下水処理システムが導入されていない地方都市においても感染症の流行をする上で下水調査は有効であり、新型コロナウイルスの新規変異株の検出が可能であったこと、及びエムポックスウイルスの追跡も可能であったことを示した。ダッカおよびクアラルンプールにおいても、多様なウイルスを網羅的に検出するための下水流入水を採取した。また、仙台市においても新型コロナウイルスとノロウイルスに関する下水調査を行い、感染流行追跡を行った。松山市においても、多様なウイルスを網羅的に検出するための下水調査を行った。
【研究項目2 ヒトに感染する可能性のある未知ウイルスの下水からの検出】昨年度に引き続き、NCBI等の核酸配列データベースから、感染する宿主動物(ヒト、豚など)が分かっているデータを収集した。また、宿主推定に用いる情報シグナルとして宿主とウイルス間の配列組成の類似性およびタンパク質間相互作用も用いることにした。塩基配列の特徴を固定k-merを用いて数値化した教師データとして用いて、機械学習(ナイーブベイズ)で宿主動物を推定するモデルを作成した。
【研究項目3 下水疫学データを感染流行モデルに適用した感染対策シナリオの最適化】 昨年度に引き続き、都市における感染症と人間の関係を下水によって関知するため、都市における様々なイベントデータと特定サンプリング地点における下水に含まれる病原微生物濃度を関連付けるモデルの構築に取り組んだ。また、人獣共通感染症(例えば愛玩動物経由)のモデルの開発も継続した。また、各地においてモデル構築のための感染症患者数の時系列データの収集も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの研究項目共に、当初計画通り概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
下水からの病原ウイルスゲノムの網羅的で効率的な新規回収技術の開発では、濃縮下水からウイルスに由来する核酸を選択的に抽出・精製する手法を更に改善する、次世代シーケンシング解析を適用する。未知ウイルスと既知ウイルス変異株の人への感染性を評価する機械学習モデルの開発では、最適な機械学習アルゴリズムの探索を継続すると共に、ゲノムを構成する塩基、コドン、アミノ酸に関する頻度以外のパラメータも追加してゲノム特性の把握を試みる。
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