研究課題/領域番号 |
22H00562
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
弓本 桂也 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (50607786)
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研究分担者 |
梶野 瑞王 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (00447939)
村上 浩 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 第一宇宙技術部門, 研究領域主幹 (00509838)
西澤 智明 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 室長 (10462491)
神 慶孝 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主任研究員 (30749718)
清水 厚 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 主幹研究員 (90332238)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2024年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2023年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2022年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
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キーワード | エアロゾル / リモートセンシング / データ同化 / 化学輸送モデル |
研究開始時の研究の概要 |
大気エアロゾルは大気環境の悪化、気候変動や健康被害など多岐にわたって影響を与えている.近年のリモートセンシング技術の発達によって,光吸収特性や粒径分布,組成といったエアロゾルの性状に関する情報が得られるようになった.本研究では複数の観測プラットフォームから得られたエアロゾルの性状に関する観測情報を適切かつ同時に数値モデルに取り込む多次元要素同時同化システムの開発を行う.開発したシステムを数値エアロゾル予測やエアロゾル版再解析プロダクトに導入することで,組成や粒径にまで踏み込んだモニタリングと被害抑制,健康被害や物質循環,気候変動をはじめとしたエアロゾル影響の解明とその定量化に寄与する.
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研究実績の概要 |
研究プロジェクト2年目である本年は、昨年度拡張したシステムを用いた同化実験を中心に研究を行った。 ・観測演算子を拡張したシステムでは、大規模黄砂イベントに対して、GCOM-C/SGLIから得られたエアロゾル光学的厚さに加え、単散乱アルベドの情報を同化することで、エアロゾルの量だけではなく、エアロゾルの特性も修正されることを確認した。 ・3次元変分法に拡張したシステムでは、衛星搭載ライダであるCALIOP/CALIPSOから得られた消散係数の鉛直分布を同化し、エアロゾルの水平分布に加え、従来のイメージャデータでは難しかったエアロゾルの鉛直分布を修正することに成功した。 ・複数の衛星から得られたデータを同時に同化するために、ひまわり9号/AHIおよびGCOM-C/SGLIといった複数のイメージャから得られたデータをマージし、一つのプロダクトとしたコンポジットデータを作成した。コンポジットデータではデータのカバー率の増加だけではなく、双方のデータを統合することにより観測誤差を低減することに成功した。また、相互にQC/QAをかけることで外れ値や異常値の除外も可能となった。 ・コンポジットデータを用いた長期同化実験を行った。ひまわり9号/AHIのデータのみを同化した実験と比べ、コンポジットデータを用いた同化実験では、ひまわり9号/AHIでAOTが増加、中東で減少した。コンポジットデータ同化は全球全体的にAOTが大きくなった。これは海上や高緯度帯におけるSGLI AOTに積雪・雲コンタミが含まれ、AOTが過大見積もりされていることが原因であると推察された。個別のイベントでは、コンポジットデータを作成することによって、陸上での黄砂を観測したデータが増え、従来のAHIデータでは難しかった、砂漠近傍でのデータ同化と予測された砂塵嵐の修正が可能となっていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度交付申請書の研究実施計画で計画した1. 同化システムの3次元変分法への拡張と衛星搭載ライダーCALIPSO/CALIOPデータを用いた同化実験、2. GCOM-C等に搭載された多波長光学放射計(SGLI)によって得られた光吸収性エアロゾルの情報を用いた同化実験、3. エロゾル再解析プロダクトの延伸作業を行った。研究進捗は計画通り、概ね順調に進展していると評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
【衛星搭載放射計(受動型センサ)の複合同化】ひまわり9号にくわえ、GCOM-C搭載のSGLIから得られたAOTを同時に同化するシステムの開発を行う。まず、ひまわり9号とSGLIから得られたAOTを統合した新しいエアロゾルプロダクトを作成し、データのカバー率や観測誤差の減少率 などを調べ、それぞれの単独データと比べたときの複合データのインパクトを定量的に評価する。次に、既存のエアロゾル同化システム(MASINGAR/2D-Var [Yumimoto et al., 2018])を複合データに拡張する。複合データを用いた長期エアロゾル同化実験を行う。同時に、ひまわり9号単独のデータを用いた同化実験を行い、両者を比較することで複合データを用いた同化予測のパフォーマンスの評価を行う。現在運用中のひまわりモニタエアロゾル同化システムへの導入を行い、毎日の同化・予測運用を開始のための検討を行う。 【再解析プロダクト】新しく更新した同化システムを用いて、現在公開中のエアロゾル再解析プロダクト(JRAero)の更新作業を行う。 【衛星搭載ライダー】今年度打ち上げの衛星搭載ライダーEarthCARE/ATLIDを想定した同化システムの開発を行う。まず、モデルの出力を衛 星が観測する物理量に変換するJoint-Simulatorを同化モジュールに組み込む。これにより、EarthCARE/ATLIDで観測される消散係数や後方散乱 係数、偏光解像度を直接同化することができる。すでに打ち上がっている衛星搭載ライダーであるCALIOP/CALIPSOのデータを用いて、フィージビリティ・スタディとパフォーマンスの評価を行う。地上ライダネットワークで得られたデータを用いて鉛直分布も含めた精度検証を実施し、システムの改良を行う。EarthCARE/ATLIDのデータが得られ次第、同化実験を実行する。
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