研究課題/領域番号 |
22H00564
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
堀 知行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (20509533)
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研究分担者 |
亀崎 和輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (00910142)
青柳 智 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (10812761)
石戸谷 重之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究グループ長 (70374907)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2024年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2023年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2022年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
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キーワード | 環境分析 / 地球化学 / 微生物 / 森林環境 / 土壌科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、研究分担者らが25年以上にわたり現場観測を実施している岐阜県高山市冷温帯落葉広葉樹林観測サイトを対象として、研究代表者らが独自に確立した高感度安定同位体プローブ法を高精度なGHG連続現場観測(GHG時空間変動解析)技術、最先端の土壌溶存物質解析法と組み合わせて利用することで、土壌有機物分解の中核的役割を担うものの未だに実体の明らかでない稀少微生物(難分解性有機物分解菌やメタン生成菌など)の高感度同定と生理生態学的特徴づけを実現し、さらにこれら中核微生物の気候変動応答機構の解明を通して、森林生態系における炭素動態やGHG収支の統合的理解とより正確な将来予測のための指標の提案を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、岐阜県高山市冷温帯落葉広葉樹林観測サイト(TKYサイト)での長期現場観測から見出した未解明現象「夏季地表部の土壌起源CO2のδ13CとO2-CO2交換比の増加」および「深層土壌空気での継続的・突発的なCH4発生」が森林生態系における土壌微生物の未知機能に起因するとの着想のもと、主要な温室効果気体(GHG)であるCO2、CH4等の生成・消費に中心的に関わる稀少な土壌微生物を同定することを目的とする。以下の2つの課題に取り組む。①次世代シーケンサー解析や高感度安定同位体プローブ法を用いて、森林生態系炭素動態に中核的な役割を担う微生物種を炙り出す。②土壌微生物活性とGHG収支の動態を連結させる。高精度なGHGの連続現場観測(時空間変動解析法)に加え、森林生態系の土壌溶存物質を詳細に特徴づけ、GHG収支予測の指標としての利用可能性を探る。本年度は、TKYサイトにてGHGの動態観測を実施しデータを取得した。具体的には、森林内外大気中CO2及びCH4濃度、大気―森林間のCO2フラックスおよび気象・土壌環境の連続観測を行ってデータを取得した。また、フラスコサンプリングにより森林内外大気中のCO2及びCH4濃度、CO2安定同位体比のデータを数週間おきに取得した。季節ごとに現地訪問し、観測機器の保守点検及び大気・土壌中空気、土壌チャンバー空気試料、土壌試料の採取を行い、持ち帰った試料の分析を進めた。森林生態系における季節ごとのGHGの時空間変動およびその変動要因について解析を進めた。また、採取した土壌試料からDNAを抽出し次世代シーケンサーにより土壌微生物を数十万種レベルで特徴づけるための実験に着手した。さらに、3次元励起蛍光スペクトル法、LC/CE-TOF-MS、ICP-MS-MSなどによる土壌溶存物質解析の条件検討・最適化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
岐阜県高山市冷温帯落葉広葉樹林観測サイト(TKYサイト)での温室効果気体(GHG)の動態観測を継続的に実施し、データの取得と解析を継続的に実施している。また次世代シーケンサーの土壌微生物種の大規模同定技術や3次元励起蛍光スペクトル法、LC/CE-TOF-MS、ICP-MS-MSなどによる土壌溶存物質解析の条件検討・最適化をほぼ終了した。本研究開発のベースとなる実験試料採取、GHGデータの取得・解析、土壌微生物や土壌溶存物質の解析最適化において進捗がみられることから、研究が概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
TKYサイトでの温室効果気体(GHG)の動態観測や土壌微生物と土壌溶存物質の詳細解析を継続的に行う。高感度安定同位体プローブ法による中核微生物の同定試験に着手する。特に、使用する13C標識物質を決定するとともに、それらを基質とした13Cトレーサー試験の条件(対象土壌試料、培養期間、追跡項目等)を設定する。研究参画者での情報交換を密に行い、成果発表を積極的に行う。さらに研究成果取得の加速化を図るため、専門の実験補助員の増員を検討する。
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