研究課題/領域番号 |
22H00575
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
森 隆昌 法政大学, 生命科学部, 教授 (20345929)
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研究分担者 |
酒井 幹夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00391342)
佐藤根 大士 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00583709)
北村 研太 法政大学, 生命科学部, 助手 (00850455)
小鍋 哲 法政大学, 生命科学部, 教授 (40535506)
椿 淳一郎 公益財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (50109295)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,770千円 (直接経費: 32,900千円、間接経費: 9,870千円)
2024年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2022年度: 16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
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キーワード | 直流電場 / 無粒子領域 / 凝集 / ケークレス濾過 / 沈降促進 / 粒子凝集 / ケミカルフリー / スラリー / 電場凝集 / 旋回流濾過 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまでに開発してきた直流電場とボイコット効果を併用した多層傾斜板電極付き沈降槽及び旋回流濾過装置を利用したケミカルフリーな粒子・流体分離技術の詳細なメカニズムを解明することで、装置設計及び運転条件決定指針を確立し、資源リサイクルに応用することを検討する。マクロ及びミクロな視点から粒子凝集現象、粒子・流体分離現象を解析し、分離効率を決定づける因子を明確化する。得られた知見を整理・体系化することで、被処理液の基本的な物性値と目標とする分離条件から、必要な装置仕様及び運転条件を決定できるようなモデルの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
水系スラリーに直流電場を印加したときに起こる粒子の沈降促進現象について詳細に解析した。電場印加中のスラリーの様子をデジタルカメラ等で解析した結果、電極近傍に粒子濃度の低い無粒子領域が形成されていることを見出した。無粒子領域は粒子の電気泳動で形成されるもので、この無粒子領域が密度対流によって清澄層を形成し、沈降促進効果が生まれていることを明らかにした。従って、電場印加後の粒子の凝集の有無に関わらず直流電場による沈降促進が可能であることが明らかとなった。 また粒子の凝集の有無については、電場印加中の溶液のpH変化、及び、電極への粒子の堆積しやすさが影響していることを明らかにした。溶液のpHが、粒子の表面電位がゼロになる等電点付近まで変化する、もしくは、等電点を超えて表面電位の符号が入れ替わるところまで変化することによって粒子の凝集が起こっていることが示された。また、電極極板状に堆積しやすい粒子は、極板に堆積し大きな塊を形成後、溶液中に落下することで、大きな凝集体となることも分かった。よって、電場印可時間や電極材質を変化させることで、凝集体サイズをコントロールできる可能性が示されたため、次年度以降に詳細を検討する。 連続処理装置については粒子の分離効率に及ぼす運転条件の影響を検討したが、直流電場の効果が粒子凝集だけでなく、電気泳動による無粒子領域の形成であることが明らかとなったため、現状の傾斜板多層電極(絶縁体を利用し電場の方向を全てのセルで統一する仕様)でなくても、十分な効果が得られる可能性が考えられるため、次年度以降に再度電極配置に関する検討を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直流電場印加時の粒子の沈降促進効果に関して、その主要なメカニズムを明らかにし、論文化することができた。また、同時に、粒子が電場により凝集する場合としない場合とがある理由について、電場印加中の溶液のpH変化が重要であること、電極への堆積しやすさが影響していることを明らかにした。メカニズムが明らかになったことで、リサイクル可能な系を特定しやすくなったため、次年度以降の実験計画をより確実なものにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度解明した沈降促進メカニズムを活かして、シリコンスラッジだけでなく、半導体研磨スラリーについても濃縮実験を行い、再利用の可能性を探索する。さらに、電場印加時の粒子凝集の有無については、さらに定量的に解析を進める。連続処理装置についても、明らかになったメカニズムから推定される最適電極配置について新たに電極を試作し効果を確かめる。
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