研究課題/領域番号 |
22H00594
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
竹井 邦晴 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (20630833)
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研究分担者 |
中嶋 浩平 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (10740251)
渡辺 心 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (80220888)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,120千円 (直接経費: 32,400千円、間接経費: 9,720千円)
2024年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2023年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2022年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | フレキシブルデバイス / リザバーコンピューティング / 健康管理 / センサ / エッジシステム / フレキシブルセンサ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、無線でバイタル信号を常時計測し、そのデータの瞬時解析で健康管理を行うフレキシブルセンサシステムの開発を行う。特に絆創膏のように皮膚に貼付する多検知センサパッチとそれを自動解析するシステムの開発を行う。そしてそれを用いて実際に実証試験を行うことで、健康管理や医療分野に適用できるかどうかを解析する。まだ誰も実現したことがない皮膚表面からの多種バイタルデータの遠隔無線計測及び瞬時・常時解析により、遠隔医療・見守り分野でのブレイクスルーを起こし、次世代の『スマート健康社会』の基礎基盤の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では無線で常時バイタル計測し、そのデータの瞬時解析を行う健康管理センサシートシステムの開発を目指している。本年度は昨年度の実証試験などの遅れ分をまずは取り返し、さらに汗センサの開発そして実証試験によって得られたバイタルデータを用いて、機械学習の一つであるリザバーコンピューティングを用いて瞬時に解析するアルゴリズムの開発を行った。 まず汗センサにおいては、昨年度からの継続課題として取り組んだ。汗を安定且つ長時間計測する手法としてフィルム内に流路を形成し、さらに構造を点滴型にすることで長時間且つ多量の発汗量を計測する方法を提案した。従来の報告されているフレキシブル発汗センサでは構造上発汗量に制限があったが、本研究で提案した構造を用いることで理論上は無制限に発汗を計測できるようになり、その可能性を実験的に示した。そしてそのセンサに無線回路を搭載させ、簡易サウナ内で発汗量及び汗中のイオン濃度の常時・連続計測を行った。その結果、スポーツ飲料の摂取有無に応じて、汗中のイオン濃度に変化があることが確認できた。また発汗量も市販のセンサと同等の傾向を示し、実際のウェアラブルセンサ用途として応用展開できる可能性を示唆することができた。 次に、バイタルデータを解析することでリザバーコンピューティングのアルゴリズムの開発を行った。最初のターゲットとして、バイタルデータ及び活動量を解析することで咳、不整脈、転倒などをリアルタイムで瞬時に解析することを目指した。データのプリプロセッシングや拡張、そしてアルゴリズムの最適化及び工夫を施すことで、汎化性能(学習データ以外の誰が使っても同等の結果がでる)の高い、アルゴリズムを開発することができた。本アルゴリズムができたので、その結果を利用者にフィードバックするスマートフォンシステムの開発を開始することもできている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は予定していた汗センサとして汗中のイオン濃度及び発汗量を常時・安定して計測でき、さらに印刷技術でその他のセンサと集積可能なプロセスの開発を行った。印刷手法としてスクリーン印刷などを適用することで、ラミネートプロセスが必要にはなるが計画通りセンサを開発することができた。また実際に実証試験を行うことで多量の発汗であっても長時間安定して電解質濃度や発汗量を計測できることを確認した。2022年度計測を終えた熱中症環境化のバイタルや睡眠時無呼吸患者のバイタルデータを用いて、そのデータ解析を実施した。そしてその解析結果を自動判別するリザバーコンピューティングのアルゴリズムを開発し、最初のターゲットである咳、不整脈、転倒などを瞬時に解析するシステムの開発に成功した。またそれを用いた利用者へのフィードバックシステムとして次年度予定していたスマートフォンで動作するアプリ開発にも取り掛かることができている。このような進捗状況であり、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、予定通りバイタルデータの解析及びそのリザバーコンピューティングでの瞬時解析に用いるアルゴリズムの開発を実施することができた。まだ第一段階であり、病気の診断などはできない状態であるが咳や不整脈、転倒などを遠隔で常時見守りできそうな状況である。またスマートフォン上で動作するアプリ開発にも取り組むことができている。次年度は、これらのアルゴリズムの更なる改良及びアプリを開発することで誰でも、どこでも、簡単に利用できる瞬時解析脳を有したフレキシブルセンサシステムを実証することを目指す。またこのシステム及びアルゴリズムを様々な応用分野に展開・発展させることでフレキシブルセンサシステムの応用分野におけるブレイクスルーを起こすことを目指す。このようなシステム開発や新たな分野の探索においてセンサの新たな仕様や新規計測用センサの開発が必要になることが考えられ、それらのセンサ改良や新規センサの開発を実施する。
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