研究課題/領域番号 |
22H00627
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 美亜 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20436695)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 認知症ケア / 芸術活動(アート) / 評価 / 価値 / コミュニケーション / 芸術活動 / 多様な価値 / フレームワーク |
研究開始時の研究の概要 |
認知症ケアの場で、さまざまな芸術活動が行われるようになった。しかし、人によって目的や効果の理解が異なるため、資金提供者と実施現場、文化関係者と福祉関係者の間などで齟齬が生じている。一方、文化政策における評価研究では、単純な数値評価に代わる、多様な価値を包含する新しい評価方法の開発が始まっている。そこで本研究は、多元的フレームワークに関する学際的な理論検討、国内外の事例調査と分析、アクション・リサーチを連携して進めることで、認知症ケアの場における創造的な芸術活動を支援する「多元的評価フレームワーク」(活動がもたらす多様な効果の可能性を構造的に示したリスト)の開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
2022年度は、アクションリサーチと定例研究会を実施した。アクションリサーチに関しては、福岡市東区にあるデイケア施設「うみがめ」で即興演劇ワークショップを6回実施。毎回、施設職員への事後アンケート、施設職員との共同の振り返り、動画分析を行なった。動画分析に関しては、うみがめの精神科医、勢島奏子先生と共同で実施した。また、その際には、勢島氏が実施している「集団精神療法」との違いについても検討した。 その結果、ワークショップにおいては、認知症の人から日頃とは異なる反応が引き出されることが重要であることがわかった。また、集団精神療法との共通点、即興演劇ならではの効果が生まれるプロセスも明らかになってきた。特に後者のプロセスについては、役者の誇張された表現や演技などの非言語的表現、職員からの働きかけ、同僚の劇への参加などに触発されて、認知症高齢者の自発的表現が促されていくさまが具体的に見てとれた。また、同僚の様子を見る(観劇する)ことを通して、日常とは異なる施設職員との会話が促されることもわかった。 加えて、定期的に研究会を開催し、以下のことを行なった。(1)評価:①評価関連の事例調査、多元的評価のロジックモデルの検討、アウトカムに関する構造化分析、(2) レビュー:①認知症とアートに関する評価方法レビュー、②アート活動の効果に関するレビューと分類、③ウェルビーイング概念のレビュー、(3)国内調査:①国内論文の整理、②先進事例のリスト化。 成果発表に関しては、学会発表に加えて、勢島先生と共同で公開の研究発表会も実施(福岡市科学館)。当日の様子を編集した動画も作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、多元的フレームワークに関する学際的な理論検討、国内外の事例調査と分析、暫定的フレームワークを試行するアクション・リサーチを連携して進めることで、芸術文化的価値のコミュニケーションに貢献する実用的なフレームワークの開発を目指すものだが、いずれにおいても十分な進捗が見られたから。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度については、これまでのアクションリサーチの成果と定例研究会の成果をまとめ、年度はじめに専門家を交えた研究会を実施する予定である。また、関連する萌芽研究のプロジェクトの成果も踏まえながら、2023年度の研究方針を策定し、実行する。コロナが収まってきたので、国内外のフィールド調査を実施する計画である。
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