研究課題/領域番号 |
22H00911
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
黒坂 愛衣 東北学院大学, 地域総合学部, 教授 (50738119)
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研究分担者 |
金 明秀 関西学院大学, 社会学部, 教授 (80309062)
岡田 紅理子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 講師 (70802502)
仁井田 典子 東京都立大学, 人文科学研究科, 客員研究員 (00852170)
堀江 有里 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 専任研究員 (60535756)
福岡 安則 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 名誉教授 (80149244)
服部 あさこ 専修大学, 人間科学部, 兼任講師 (10424318)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | ハンセン病問題 / 差別・偏見 / 統計的意識調査 / 差別 / ドキュメント分析 / 計量テキスト分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、日本政府が設置した「ハンセン病に係る偏見差別の解消のための施策検討会」の協議に資するため、同検討会の委員である黒坂愛衣・金明秀・福岡安則が中心となって行なう社会学的調査研究である。その遂行のため,他の研究分担者・研究協力者らとともに、日本解放社会学会内に「社会学的調査チーム」を発足させた。 実証的データおよび知見を得るため、①一般市民を対象とした統計的意識調査、②ハンセン病家族訴訟の陳述書等の質的分析及び計量テキスト分析、③ハンセン病回復者宿泊拒否事件に起因する差別文書の質的分析及び計量テキスト分析,④ハンセン病家族を対象とした量的調査を実施する。
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研究実績の概要 |
①ハンセン病回復者宿泊拒否事件(2003年)に起因する差別文書のドキュメント分析と、ハンセン病家族訴訟(2019年判決)における原告陳述書のドキュメント分析を実施した。研究代表者の黒坂愛衣および研究分担者の金明秀と福岡安則は、「ハンセン病に係る偏見差別の解消のための施策検討会」内に設置された差別文書分析と陳述書分析ワーキングチームのメンバーであり、元データは同検討会より提供されたものである。差別文書および陳述書のいずれも、一つひとつの資料の意味の読み解きによる質的分析とは別に、ソフトウェアKH-Coderを使用した計量テキスト分析を行なったことに本研究課題の新規性がある。差別文書分析では(1)「見下し・嫌悪」「自粛強要」を合理化する「加害者への同情」、(2)「他者化」を結節点とした「非生産性」「不当利益」、(3)「経営論理」の欺瞞が明らかになった。また陳述書分析では、(1)差別の温床としての「近所」、(2)家族原告の孤立化、(3)差別による精神的被害としての「秘密」の重みが明らかになった。こうした分析結果は、同検討会の有識者部会・当事者市民部会に報告され、全体の報告書にも記載された。 ②研究メンバーによるオンライン研究会を11回開催し、ハンセン病問題に関する市民意識調査の質問紙の検討を重ねた。これをもとに、2022年2月、熊本市民および尼崎市民を対象とした「感染症に係る人権問題についての意識調査」を実施した。選挙人名簿からのランダムサンプリングを業者に委託して行ない、郵送法により合計で750サンプルを回収できた。調査結果の分析は次年度の実施となる。年度末には分析手法の研修を目的とした合宿研究会を実施した。 ③熊本県熊本市にてハンセン病家族当事者からの聞き取りを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に記載したとおり、差別文書および陳述書のドキュメント分析については報告書の執筆まで終了し、統計的市民意識調査も実査が済んだところである。当初の計画よりも進捗がかなり早いが、これは「ハンセン病に係る偏見差別の解消のための施策検討会」が2022年度末までとなり、予定していた調査の実施が急がれたことによるものである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、熊本市および尼崎市にて実施した統計的意識調査の、本格的な計量分析をすすめる予定である。なお2023年度中に、厚生労働省が「ハンセン病問題に係る全国的な意識調査」を実施することになった。本研究課題が実施した熊本市および尼崎市の意識調査の回答結果を踏まえて、質問紙を再検討しブラッシュアップして、国の意識調査に活かせるような協力ができれば意義が大きいと考えている。
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