研究課題/領域番号 |
22H00918
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
吉野 諒三 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (60220711)
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研究分担者 |
前田 忠彦 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (10247257)
鄭 躍軍 同志社大学, 文化情報学部, 教授 (80280527)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 世論調査・社会調査 / 未回収層バイアス / 調査協力態度尺度 / 統計的無作為標本抽出調査 / 非確率抽出調査 / 世論調査の方法論 / 社会調査の方法論 / WEB登録モニター調査 / 調査の回収率 / 調査のバイアス / 世論調査 / 調査モード / 統計的無作為標本抽出法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、主に以下の3点に焦点を絞り解決を試みる。 1)現行の各モードの世論・社会調査は低回収率に甘んじ、従来の確率的標本無作為抽出法の理論ではデータの質は評価し難くなっている。各調査の回収データのバイアス(回収層vs未回収層の差違)を評価するため、「調査協力態度尺度」構築で新たな評価法を探求する。 2)各調査モードにおいて「調査協力態度」を計測し、回答者層の差違(外的属性およびパーソナリティ)を比較し、さらに調査テーマ毎に回答パターンを多次元的に対照する。 3) 「調査協力態度尺度」を用い、従来の統計的無作為標本抽出法による調査と非確率抽出標本(WEB調査など)との補完的活用の可能性を探索する。
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研究実績の概要 |
本研究の主目的は、実践的社会調査法と心理学的尺度構成の観点から「調査のデータ科学」を展開すべく、以下を遂行することである。特に以下の3点に焦点を当てる。1)「人々の調査協力態度」を計測する尺度の構築、2)各種調査モードによる回収データの統計的代表性及び回答傾向の比較、3)統計的無作為抽出法による調査と非確率標本抽出調査との補完的活用の探索。 本年度は以下の3点を中心に推進した。1)まず、現況の世論調査・社会調査の動向確認のため、内閣府政府広報室「世論調査の現況」等の資料を参考に、面接調査、電話調査、郵送調査、WEB調査などの各モードの調査の現況を再確認した。データ収集や公開を含むデータ取り扱いの法律的・倫理的な問題や制限についても、情報・システム研究機構DS共同利用基盤施設・社会調査データ構造化センターの特別講演資料などを含め、国内外の最新の動向を確認した。2)調査協力に関する態度尺度構築をめざし、既存の資料やデータの活用と小規模実験調査を、a) 調査協力態度尺度構成に必要な質問項目の候補を絞る。さらに候補となる多数の項目群から基礎の研究成果からの検討、関連する調査回答データの多次元データ解析などによる考察で主要項目群を絞り、日本版の調査協力態度尺度となる項目案のまとめ、b) 一般的な日常生活や消費者行動や環境配慮意識について、調査トピック毎に回答データの特徴を多次元データ解析するための調査質問群の探索を念頭に検討を進めた。3)プリテスト調査の遂行として、既存の各種モード調査と対照しながらWEB登録モニター調査実験を遂行し、データ解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の調査の制限や、予算の制限から、想定していた多様な調査方法による世論調査・社会調査を全て遂行できたわけはないが、本件の科研費以外の研究による共同研修者たちの調査プロジェクトと総合的に補完し合い、所期の目的はおおむね順調に果たせていると判断する。特に、WEB登録モニターによる実験調査はほぼ同時期に3件の異なる社会テーマについて、各調査会社の調査オペレーションの各プロセスの細部までの情報が修得でき、各データの信頼性と限界の評価がある程度可能となり、これに関する知見をまとめ発表することは、調査に携わッている官民学の調査関係者、また今後、調査を計画している方々にも有益な情報となることを期待する。
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今後の研究の推進方策 |
概ね当初の研究計画のとおりに計画を推進できると想定している。ただし、コロナ禍後も、各種調査の費用や統計的調査環境の悪化を考慮すると、本件で実行すべき調査の種類や方法などは限定され、工夫が必要かもしれない。他方で、各種の調査遂行で収集されたデータ解析が進み、本研究の主眼である未回収層バイアスに関す知見が集積されてくることにより、今後必要とされる実験調査の種類や方法や絞られてくることも想定される。これらについては、本計画の主旨から逸脱しない範囲で、効率的研究を推進するために臨機応変に対応すべきと考える。
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