研究課題/領域番号 |
22H00969
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
佐藤 学 学習院大学, 文学部, 客員所員 (70135424)
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研究分担者 |
秋田 喜代美 学習院大学, 文学部, 教授 (00242107)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 学校改革 / 学びの共同体 / 授業研究 / 教職開発 / 国際ネットワーク / 学びのイノベーション / 教職専門性の開発 / アクション・リサーチ |
研究開始時の研究の概要 |
学びの共同体の学校改革と授業革新は、日本の教育学と教育実践の海外発信によっ て成立した国際ネットワークである。最近10年間、世界に影響を及ぼした学校改革運動の一つとして国際的に評価され、アジア諸国を中心に世界25か国以上の教育研究者とのネットワークを形成している。しかも学びの共同体の改革は、巨額の資金投資による改革でも行政が主導するトップダウンでの改革でもなく、草の根のネットワークによって各国の教育研究者たちと教師たちが協同で推進し普及する特徴を有している。本研究は、この学校改革の特徴と質的評価を行っている。
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研究実績の概要 |
本研究は、アジア地域を中心に展開してきた「学びの共同体」の学校改革グローバル・ネットワークを対象とする調査研究を目的としている。日本、中国、韓国、台湾、インドネシア、ベトナム、タイ、シンガポール、香港などの国・地域は、グローバリゼーションを背景として、学校改革と授業革新が最もドラスティックに展開されている地域である。なかでも、申請者が提唱してきた「学びの共同体」の学校改革は、多くの国で国家政策もしくは準国家政策となり、アジア地域における学校改革の最も大きな推進力の一つになっている。新型コロナ・パンデミックと第4次産業革命のもとでも、この改革はいっそう拡大し、近年はアジア地域を越えたグローバル・ネットワークを形成している。本研究は、この改革における学びのイノベーション、教師の専門家共同体の形成、学校改革の政策について各国の研究者たちとの協同研究を推進し、学校教育の改革モデルを研究することを目的としている。 「学びの共同体」を標榜する学校改革は、(a)「21世紀型の学校」を追求する改革であり、(b)新自由主義に対抗する民主主義教育を模索する改革である。その特徴は、(a)質と平等の同時追求、 (b)学習者主体の協同的探究の授業、(c)教科の本質に即した「真正の学び」、 (d)「教える専門家」から「学びの専門家」への教師像の転換にある。ヴィジョンとしては、学校の公共的使命である一人残らず子どもの学ぶ権利を保障すること、すべての教師の専門家として成長を実現することを掲げてきた。その哲学としては(a)公共性の哲学、(b)民主主義の哲学、(c)卓越性の哲学の三つを掲げ、活動システムとして(a)対話的コミュニケーション(聴き合う関係)による協同的学びの創造、(b)授業研究による教師間の同僚性の構築、(c)学校改革への親と市民の参加と協力を提示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、アジア諸国を中心に普及している日本発信の「学びの共同体の学校改革」の研究と実践の国際交流を目的としている。本プロジェクトは、2014年以来、研究代表者が提唱し継続してきた「学びの共同体の学校改革」の国際交流を行い、その改革の研究と実践の達成度を実証的に評価することを目標として実施されている。 2022年度は新型コロナによって海外渡航と対面式の国際会議が可能になったことから、対面参加人数を海外からの参加者100人に限定し、対面とオンラインの双方で2023年3月に第10回国際会議を日本で開催した。「学びの共同体」の改革は新型コロナ下でも全世界に拡大し、国際会議へのオンライン参加者は31か国地域から2,000名(教育研究者・教師・教育行政担当者)に達した(日本人参加者は150名)。この規模は教育関連の国際会議では最大規模である。 本研究は「21世紀型の授業と学び=探究と協同の学び」を各国の事情に対応して推進しているが、研究対象とした諸国において期待以上の前進を達成することができた。具体的には、本研究に協力した中国、韓国、台湾、インドネシア、タイ、ベトナム、イギリス、メキシコの諸国において多くのシンポジウムと教師研修ワークショップを開催し、「21世紀型の授業と学び=探究と協同の学び」へのイノベーションを推進してきた。また、各国の教育研究者相互のネットワーク、および国際間のネットワークを緊密化し、協同研究の書物と論文の翻訳と刊行も推進してきた。新型コロナ下で継続してきたオンラインによる改革ネットワークによって、本プロジェクトの参加国地域と参加人数が一挙に増加したことは、今後の前進の貴重な土台作りになった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究実施の計画は、以下の通りである。 ① 2023年4月から12月にかけて、中国、韓国、台湾、インドネシアなどのアジア諸国を訪問し、学校改革の実施状況を調査し、学校改革の拠点校、拠点大学の支援を行う。特に202年から2023年までのパンデミックによる学びの損失(learning loss)の実態を調査し、学びの回復(learning recovery)のための実践と研究がどのように進展しているかを調査する。 ② 2023年9月と22月には、メキシコとオランダを訪問し、本研究が築いたアジア地域の学校改革の国際ネットワークのヨーロッパ諸国と中南米諸国へのインパクトを調査する。オランダでは、世界授業研究学会(WALS)に参加して、授業改革と教師教育改革の研究交流を行い、メキシコではイベロアメリカーナ大学で開始した「学びの共同体改革プロジェクト」の研究者と共同研究を行う。 ③ 1年間を通じて本研究が推進している学びの共同体の学校改革の国際ネットワークに参加している各国の若手研究者の研究交流と研究支援を行う。彼らのほとんどはすでに博士学位を取得し、各国の教育研究をリードする大学で仕事を行っている。彼ら若手研究者たちは、それぞれ国内外で優れた協同研究を行っているので、今年度中に本研究の成果による英語の本の編集と出版を行う予定である。 ④ 本研究の成果に基づいて2024年3月に、第11回学びの共同体国際会議を学習院大学を会場にして開催する。対面とオンラインのハイブリッド方式で開催する予定であり、昨年度同様、世界30か国以上から2,000名以上の教育研究者、教育行政関係者、教師が参加する見込みである。
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