研究課題/領域番号 |
22H01010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
影山 和也 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (60432283)
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研究分担者 |
熊谷 恵子 筑波大学, 人間系, 教授 (10272147)
川合 紀宗 広島大学, ダイバーシティ&インクルージョン推進機構, 教授 (20467757)
木下 博義 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (20556469)
小山 正孝 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (30186837)
松浦 拓也 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (40379863)
松島 充 香川大学, 教育学部, 准教授 (70804128)
三好 美織 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80423482)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 理数教育 / インクルーシブ教育 / 数学的認知 / 理数系教育 / 学びにくさ / インクルージョン / 協調 / プラットフォーム |
研究開始時の研究の概要 |
(1)理数学習・教育分野での「学びにくさ」の理解 理数領域の「学びにくさ」を「学ぶための能力の有無」ではなく,子供の置かれた状況や環境を含めて理解する。これによって,対処療法ではないインクルーシブな理数教育を実現するための足がかりとする。 (2)異領域間対話を可能にするプラットフォームの構築 1の成果,認知論・認識論の援用,国内外の関連領域の動向と代案的アプローチを柱とした,各専門領域間の対話を可能にするプラットフォームを構築する。これによって,インクルーシブな理数教育の当事者らの意識改革を図る。
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研究実績の概要 |
令和四年度は本研究の初年度にあたり、次のことに取り組んだ:(1)文献レビューによって、理数系教育で「学びにくさ」がどのように捉えられているかを理解すること、(2)(1)での成果を踏まえて、理数系教育と特別支援教育との接点について現状と課題を捉えること。 (1)では、概念の不理解を扱う数学教育研究を中心とする学術雑誌、特別支援教育を基礎づける理論や思想を中心にレビューを行った。その結果、研究領域を問わず「学びにくさ」に対する捉え方が、医療モデル(個人の特性に帰するとする考え方)から社会モデル(個人と社会との関係に帰するとする考え方)への転換がみられることは顕著な特徴といえた。個人の傾向としての認知論と、扱う知識の性格を問う認識論の確立は本研究でも重要なテーマであり、これまで大多数の人々の傾向と知的ニーズとによって構築されてきた教科教育について、早急の見直しと多様化が必要だと考えられた。 (2)では、特別支援教育の専門家へのインタビューによって、「学びにくさ」「誤り」「つまずき」の意味とそれらへの対処の特徴をまとめた。このインタビューはオンラインによって公開で行われ、参会者とのやりとりを含めて、一見すると「誤り」とみられる子供の振る舞いを重要な科学データとしてみなし、振る舞いの法則を捉えることが大切であることが再認識された。特に、理数系教育では教育的意図と系統とによって学びの内容が予め準備されるが、特別支援教育では先に子供の認知があり、それと課された課題との関係によって支援につなげていくという違いがあることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画である研究動向の把握、理数系教育と特別支援教育との対比は進められている。本研究で当初の基盤としている認知論との統合と発展、必要な程度の特殊化は十分ではないものの、研究全体としてはおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度からも随時取り組んでいる動向調査を続けて行う。文献のレビューとともに、国内外の施設、研究書を訪れることとする。その成果を「インクルーシブ理数系教育」として概念化することによって、これまでは専門性のもとで分離しがちであった研究成果の一元化を図りたい。
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