研究課題/領域番号 |
22H01048
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09070:教育工学関連
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
美馬 のゆり 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (00275992)
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研究分担者 |
室田 真男 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (30222342)
市川 尚 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (40305313)
渡辺 雄貴 東京理科大学, 教育支援機構, 教授 (50570090)
美馬 義亮 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 特命教授 (60325892)
根本 淳子 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (80423656)
鈴木 克明 武蔵野大学, グローバル学部, 教授 (90206467)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | コンピテンシー / 調整学習 / 創造的共感知性 / 成人学習 / 学習スタイル / 正統的周辺参加 / 自己調整学習 / パフォーマンス心理学 / 社会的公正教育 / 文化に関連する教育 / 文化的に持続可能な教育 / 人工知能 |
研究開始時の研究の概要 |
21世紀の成人に必要な新たなコンピテンシーの概念を確立し、その育成を目的とした教材を開発する。概念の確立では、新たに追加すべきコンピテンシーの要素(定義と評価指標)を探究考察し提示する。教材開発では、学習スタイル(個別学習と共同学習)と、テクノロジーの利用(リアルタイム型とオンデマンド型)について進める。その基礎となる学術領域として、1)教育心理学における自己調整学習、2)学習科学における協調学習、3)教育工学研究におけるインストラクショナルデザイン、の三つの領域を橋渡しして実施する。人工知能と共生する社会において本研究は、学術的価値のみならず、職場や行政、市民活動においても有用となる。
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研究実績の概要 |
本研究では、社会課題の解決に寄与するコンピテンシーを、21世紀の成人に必要な新たなコンピテンシーとして特定し、その育成を目的とした教材を開発することである。 そのために今年度は、新しいコンピテンシーの要素の特定、概念化および効果的な育成方法の探索に向け、①関連理論の探索と理解、②学習方法の調査と整理、③学習内容の検討と実践の実施についての研究を実施してきた。 ①および②については、正統的周辺参加、自己調整学習、パフォーマンス心理学、社会的公正教育、文化に関連する教育、文化的に持続可能な教育について調査し、検討した。正統的周辺参加、自己調整学習、パフォーマンス心理学、社会的公正教育、文化に関連する教育、文化的に持続可能な教育に共通するのは、知識は議論の中に立ち現れるものであり、個人が社会的な実践に参加すること、その参加のプロセスが学習であるという点である。正統的周辺参加における学習では、コミュニティの活動への参加を通じて、実践的なスキルや知識を身に付けるプロセスに焦点を当てる。他方、パフォーマンス心理学の学習は、個人が自己表現や自己実現を目指し、周囲の環境との関係を創造的に変革するプロセスに焦点を当てていることが明らかになった。社会的、経済的、政治的、環境的危機の状況下にある社会では、社会的公正教育、文化に関連する教育、文化的に持続可能な教育が米国を中心に重視されてきていることも判明した。 ③については、近年急速に進歩し、社会に浸透してきた人工知能に関する学習内容について調査し、検討した。2023年1月には、米国ワシントンDCで開催されたAI Education Summitに参加し、米国の政府、非営利組織の人材育成担当と情報交換、意見交換を行なった。 今年度の終盤では、国内で本科研の研究会を対面で行うことができ、これまでの実績の共有と今後の方針を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで本研究では、新たな理論と方法の構築に向け、以下の学習や教育の理論と方法と実践を調査し、検討してきた。その結果、社会的、経済的、政治的、環境的危機の状況下にある社会で、正統的周辺参加における学習から、パフォーマンス心理学の学習への移行のフレームワークを構築する必要性が明らかになった。その中で鍵となるのは、学習者を受動的で無批判な存在とみなさず、デジタル技術を能動的、創造的、主体的、批判的に利用して、個人と社会を変革していく存在としてとらえることである。すなわち、変革の当事者、担い手として、自分の人生や周りの世界に、よい変化を起こす力や意志を持った主体である。そこで、主体(エージェンシー)に関わる報告書及びその歴史的流れを周辺領域も含めて、調査し検討している。また学習内容として、人工知能に関わる内容を、米国の非営利組織The AI Education Projectと協力関係を持ちながら進めることになった。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はこれらをさらに進め、 ②学習方法の調査と整理(続き)、③学習内容の検討と実践(続き)、④教材開発および実践評価の実施についての研究を実施する。 ②については、正統的周辺参加における学習から、パフォーマンス心理学の学習への移行のフレームワークの構築にむけた調査と整理を行う。③については、米国の非営利組織The AI Education Projectと協力して具体的に進める。④開発では、③の学習内容について、②学習方法の調査で整理した学習方法を活用し、デジタルリテラシーおよびデザイン思考の育成のそれぞれについて、適切な学習方法を検討し、教材を開発する。検討にあたっては、個別学習と共同学習、オンライン学習とオフライン学習(ワークショップなどを含む)、あるいはそれらの組み合わせについて検討して教材を開発し、評価のための実践を行う。また実践から得られた知見をもとに教材の改善へと開発サイクルを回しつつ、より洗練させていく。教材開発については、webシステムと、映像などのコンテンツの2つのサブグループに分け、教育工学を中心とした、インストラクショナルデザイン、自己調整学習、リーダーシップ論、情報教育、STEAM 教育、パフォーマンス心理学などの知見をあわせ、育成手法を開発する。
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