研究課題/領域番号 |
22H01250
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
寺西 高 九州大学, 理学研究院, 准教授 (10323495)
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研究分担者 |
久保野 茂 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 客員主管研究員 (20126048)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | トリプルアルファ反応 / ホイル状態 / 対崩壊 / 崩壊分岐比 |
研究開始時の研究の概要 |
ヘリウムから炭素を生成するトリプルアルファ(3α)反応は宇宙での元素合成や天体の進化を考える上で重要な核反応である。3α反応率を支配するパラメータである炭素12の第2励起状態(ホイル状態)の放射崩壊幅をこれまでより高精度(±5%以下)で実験的に決定し、様々な天体進化モデルの改善に寄与することをめざす。そのため、放射崩壊幅の決定に必要な対崩壊分岐比と放射崩壊分岐比を新実験手法により測定し、測定精度の改善と過去の実験値の間に存在する矛盾の検証を行う。
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研究実績の概要 |
ヘリウムから炭素を生成するトリプルアルファ(3α)反応は宇宙での元素合成や天体の進化を考える上で重要な核反応である。3α反応率を支配するパラメータである炭素12 (12C) の第2励起状態(ホイル状態)の放射崩壊幅をこれまでより高精度(±5%以下)で実験的に決定し、様々な天体進化モデルの改善に寄与することをめざす。そのため、放射崩壊幅の決定に必要な対崩壊分岐比と放射崩壊分岐比を新実験手法により測定し、測定精度の改善と過去の実験値の間に存在する矛盾の検証を行う。
本年度は、12C(α,α2) 散乱による放射崩壊分岐比測定に関するテスト実験を行い、以下の結果を得た。(1) 当面のテスト実験に必要なエネルギー 21 MeV、強度 1 nA の α ビームの生成テストに成功した。(2) 反跳 12C 検出器として用いるアバランシェフォトダイオード (APD) の 5.5~20 MeV α粒子 および 3~24 MeV 12C に対する応答を測定した。その結果、APD による 12C の波高弁別が有効であることが示された。(3) 実験条件検討のための基礎データとして、αビームエネルギー 21 MeV における 12C(α,α0), 12C(α,α1), 12C(α,α2) 散乱の角度分布を測定した。4) 測定対象の 12C-α2 同時計測の直後に 12C 検出器の角度を変えずに比較対象の 12C-α1 同時計測を実施し、両者の結果から放射崩壊分岐比を決定する実験手法を新に着想した。この方法の利点は、12C 検出器の立体角の不定性が最終結果の系統誤差に影響を与えないことである。上記2つの同時計測の代替として、12C-α1 を測定対象、12C-α0 を比較対象とした原理実証実験を行い、実験手法の有効性の確認をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、ホイル状態の対崩壊分岐比および放射崩壊分岐比をそれぞれ決定するための、2つの新実験手法の開発を行う。本年度は、後者のためのテスト実験を集中的に行い、大きな進展が得られた。全体としては、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
対崩壊分岐比の測定に関するテスト実験を進め、測定の際に問題となりうるγ線バックグラウンドの起源を解明し、低減策を探る。対崩壊分岐比のテスト測定および放射崩壊分岐比のテスト測定をそれぞれ、ビーム強度を増やして実施し、本測定の実現に向けて問題点を洗い出す。
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