研究課題/領域番号 |
22H01347
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
星野 辰彦 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30386619)
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研究分担者 |
伊藤 武彦 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (90501106)
梶谷 嶺 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (40756706)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 海底下堆積物 / 極限環境 / 微生物生態 / 進化 / 適応 / 16S RNA / 微生物群集構造 / 海底下生命圏 / 海洋堆積物 |
研究開始時の研究の概要 |
海洋や地表などの地球表層環境は、太陽光に支えられる生命圏である。これまで知られている微生物の進化に関わる理論体系はこの地球表層環境、つまり微生物が成長と分裂を活発に繰り返す環境についての知識をもとに構築されている。 一方で、これらの地球表層環境とは全く異なる環境である海底下堆積物中に生息する微生物は独自の進化を遂げてきた。海底下堆積物環境は太陽光とは隔離された極限環境であり、微生物が分裂するのに数百年から数千年かかるとも言われている。それにもかかわらず、そこには地表や海洋に匹敵する数の微生物が存在している。本研究では、いまだ解明されていない海底下に棲息する微生物群集の進化プロセスの解明に挑む。
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研究実績の概要 |
海底下堆積物における微生物群集の形成プロセスを解明するため、下北半島沖水深およそ1000mの地点で採取された堆積物試料(海底表層から海底下320m付近までのサンプル)から得られたDNAを使用して、16S rRNA遺伝子のiTagシーケンスを実施し、得られたDNAシーケンスデータの解析を行なった。系統解析の結果、有機物が豊富な海洋堆積物に特徴的に存在することが知れているAtribacteria門、Chloroflexi門、Aerophobota門が堆積物浅部から深部に至るまで存在していることが確認された。さらに、それぞれの門に分類されたASVs(Amplicon sequence variants)の存在割合と、深度との関係を分析した。その結果、深度共に有意に増加していくASVはAtribacteira門では存在しなかったが、Aerophobotba門やChloroflexi門では確認され、微生物種によって極低エネルギーの極限環境である堆積物環境への適応メカニズムが異なることが示唆された。また、個々の微生物の適応プロセスの解明についてはショットガンメタゲノムシーケンスからMAGs(meatgenome-assembled genomes)を作成して進める予定である。メタゲノムライブラリのQA/QC、トリミング、アッセンブル、MAGの構築を行うためのワークフローについて複数のアッセンブルツールを比較・検討し、より高品質のMAGが構築可能なワークフローを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
R4年度は、下北半島沖堆積物中の詳細な微生物群集構造解析を16S rRNA遺伝子のiTagシーケンスにより実施した。得られたDNAデータの解析により、生物種により環境への適応メカニズムが異なることを示唆するデータが得られており、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
海底下堆積物における微生物群集形成メカニズムの解明については、R4年度に得られた16S rRNA遺伝子データの解析を進め、確率論的プロセスと決定論的プロセスのどちらが支配しているのか、さらに詳細なメカニズムはどうなっているのかを明らかにしていく予定である。個々の生物の適応プロセスについては、メタゲノム解析を実施し研究を進めていく。
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