研究課題/領域番号 |
22H01380
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18020:加工学および生産工学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
小池 綾 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (70781417)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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キーワード | 粉末床溶融結合法 / ポーラス金属 / 遠心機 / 3Dプリンタ / 低重力場 |
研究開始時の研究の概要 |
金属3D造形技術において,重力加速度が造形物構造の密度に大きく影響を与えることを理論的・実験的に明らかにした先行研究までの成果に基づき,水平軸型回転機構と金属積層造形機構を融合して,低重力場における超低密度構造物を金属材料で創造する技術を確立する.軽量性,高比剛性,電磁遮蔽性などに優れるポーラス金属を多様な金属材料において実現するにあたって,内部の空泡を外部へ排出したり破壊したりするメカニズムには重力が大きな影響を与えていることに基づき,疑似的な自由落下中のみ造形プロセスを実行する正味無重力制御を実現することで,超低密度構造を金属材料で実現することで,極めて有用な機能性材料を製造可能とする.
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研究実績の概要 |
本研究は,多孔質構造をもつポーラス金属材料をより低密度に製造する技術として,水平軸型回転機構と粉末床溶融結合ユニットの融合によって正味無重力場における材料生成法を確立することを目的としている.具体的には,先行研究において3Dプリンタの一方式である指向性エネルギー堆積法において,材料粉末に水素化チタンを混合することで,金属材料においてポーラス構造の生成に成功した一方で,重力によりポーラス構造が崩れてしまう傾向を確認したため,低重力場でポーラス金属を生成すれば,より低密度で均一なポーラス構造を得られると着想した.もう一つの先行研究では,遠心機を用いて人工的な高重力場における金属3D造形を行うことが高密度化につながることを示したことから,回転機構・レーザ走査機構の開発ノウハウを生かし,水平軸型回転機構の速度変調により,金属の溶融・凝固時間のみ造形空間を低重力化するアイディアに至り,実験的に提案機構を評価することを本研究の目標とした. 3ヶ年計画の1年目にあたる2022年度では,粉末床溶融結合ユニットの開発をあとにまわし,水平軸型回転機構の構築を行った.とくに具体的な寸法設計に先んじて,物理シミュレーションに基づいて回転軸,水平軸に与える動作指令値を算出するアルゴリズムを構築した.回転半径を60 cmとした機構においては,1回転あたりに0.6秒以上,正味無重力場を実現できると予想され,0,2秒で材料の溶融凝固を行えることを確認している先行研究に基づけば,正味無重力場におけるポーラス金属生成が行える可能性が十分にあることを示した.現在,水平軸ステージの制御機構は完成しており,そこに搭載する回転軸機構の完成を急いでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度から2023年度中期までを機構開発と計画していたが,機構の設計において物理シミュレーションを行う必要がでてきたこと,半導体不足によりモータ系のドライバ等の納期が大幅に遅れたことなどに起因する遅れが生じている.この状況からレーザ機構も搭載したうえでアライメント調整などを行う手間を考えると,本年度末などで実験を開始する目途がたつと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は引き続き,主に機構開発を続けることになる.現在までに水平軸ステージ駆動系を構築しているものの,回転機構と連動して動作させるなど,同調制御も重要な課題となり,これらの課題をクリアしながら正味無重力場を実現することを急がなければならない.本年度を目途に簡易実験を開始して,実験データを集め始めたい. 2024年度は上記の進捗状況次第で,実験を継続しながらも,会議発表,論文執筆を行う予定である.
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