研究課題/領域番号 |
22H01575
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
|
研究機関 | 兵庫県立大学 (2023) 名古屋大学 (2022) |
研究代表者 |
平井 敬 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 准教授 (00708373)
|
研究分担者 |
高橋 広人 (高橋広人) 名城大学, 理工学部, 准教授 (00650821)
倉田 和己 名古屋大学, 減災連携研究センター, 特任准教授 (50579604)
新井 伸夫 一般財団法人日本気象協会, 参与 (60647105)
飛田 潤 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (90217521)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
|
キーワード | 超高密度地震観測 / 自動車搭載震度計 / 振動モード同定 / 振動台実験 |
研究開始時の研究の概要 |
超高密度地震観測の実現を目指し、自動車を地震計として利用するための震度計と観測成果をサーバー上で収集・分析・可視化するシステムの開発を行う。震度計のセンサーには安価で小型のMEMS加速度センサーとジャイロセンサーを用い、車両の並進振動と回転運動を把握する。データ処理部では、車両の振動特性の影響を除去することで地上の振動を逆算し、計測震度またはそれに相当する地震動の強さ指標を算出する。データ収集・分析・可視化システムでは、既設の震度観測網による観測記録を使用して自動車による観測記録を補正し、階層的な地震観測体制を構築する。
|
研究実績の概要 |
本研究課題は、地震動観測の媒体として自動車を利用し、超高密度な地震観測体制を構築するための基礎的検討を行うものである。令和4年度は、すべての前提となる自動車の振動特性を把握するために車両の振動実験を行った。具体的には、まず内燃式自動車と電気自動車の振動特性を比較するため、主に人力による簡易な振動実験を行った。その結果、用途が同じ(自家用乗用)で大きさと形状がほぼ同じであれば、内燃式自動車と電気自動車の振動特性はほぼ同様であると考えて差し支えないことが分かった。次に、電気自動車を用いて振動台により複数の振幅レベルでホワイトノイズ加振と地震波加振を行った。その結果、車両の振動特性を示す伝達関数行列とモード形状が明らかになった。加えて、車両上の加速度波形記録にもとづく車両上と地上の地震動強さの推定方法についても検討を開始した。これには、リアルタイム計測震度に加え、境震度も検討対象とした。その結果、どちらの指標においても地上と車両上では0.5階級程度の差が生じうるがほぼ推定可能であることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は令和4年度から5か年の計画となっている。令和4年度には、静止状態の車両の振動特性を把握するために微動計測と振動実験を行い、あわせて地表の地震動波形または震度を推定する手法を構築するための検討に入ることとしていた。実際に、令和4年度には振動台を使用した車両の加振実験を行い、車両の振動特性を把握することに成功した。また、その分析の過程で、地表の震度をリアルタイム計測震度および境震度の形式でおおむね推定することができることが示された。これにより、令和5年度から実施することとしている自動車搭載震度計の設計と開発に進むための準備がほぼ整ったといえる。こうした理由により、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、まず令和4年度に行った静止状態の車両の振動実験の結果をもとに、車両の振動特性の把握と振動モードの同定を行う。令和4年度において、すでに車両のおおまかな振動特性を伝達関数行列の形式で表現することには成功しているが、令和5年度はさらに進めてFDD (Frequency Domain Decomposition) 法などの手法により車両の動特性を立体的かつ視覚的に表現する方法を模索する。また、車両に搭載するに適した地震計の設計、製作に着手する。これは、車両上で観測された加速度、角速度等を記録するだけでなく、それらをもとに地上の地震動波形や計測震度もしくは他の地震動強さ指標を推定するといった演算機能も含めたものとする。さらに、これを実際に使用されている自動車に搭載して地震観測の実証実験を行うことを目指し、データ収集の方法や可視化システムの設計に関する検討も開始する。
|