研究課題/領域番号 |
22H01696
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
牧田 寛子 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (40553219)
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研究分担者 |
高橋 恵輔 香川大学, イノベーションデザイン研究所, 特命教授 (00972126)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 微生物機能 / セメント系材料 / 深海 / 海洋環境 / 耐久性 / 深海底 / コンクリート |
研究開始時の研究の概要 |
現在の我々の生活を支えるインフラストラクチャーの劣化と補修は, 世界的に大きな問題となっている。さらに海底の利活用に向けて, 海底油田の開発に用いられるような洋上プラットフォームを建設することが検討されており, その基礎部材として使用されるコンクリート等インフラ材料の深海底での長期間の耐久性が求められている。本研究では, 海洋環境に生息する微生物の機能により, 耐久性が向上するインフラ材料の開発に向けて, 微生物機能を活発化させる材料組成やそのメカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
今年度は, 深海環境でのセメント系材料の物理化学的変化や生物学的影響を明らかにするために, さまざまな組成・配合のセメントペーストおよびモルタル試験体を作成し, それらの実環境および実験室内水槽等への長期および短期間の浸漬実験を開始することができた。なお実環境に浸漬するセメントペースト試験体の配合の検討・選定は, フライベルク工科大学のBier教授の協力のもと行なった。 浸漬実験に供した試験体に繁茂した微生物叢を確認するために, まずは実験室内で実施した短期間浸漬した試験体からのDNA抽出を試みた。しかしながら, その際にセメント系材料に含まれるシリカなどが抽出に影響を及ぼすことが明らかとなり, 抽出に供する試験体の量によっては, ほとんどDNAが抽出されないことが確認された。そのため, 種々の試薬や抽出キットを組み合わせ, 最適なDNA抽出方法の検討を行った。その結果, 条件により改善効果は見られたが, より効果的な抽出方法の構築が必要であると判断し, 次年度以降も引き続き検討を行うこととした。 次世代シーケンサーによる16S rRNAアンプリコン解析により, 試験体表面に繁茂した微生物叢を明らかにし、短期間に生じた周辺環境(実験に用いた海水)から試験体表面への微生物の移動に関する知見や, 期間による試験体表面の微生物叢の遷移を明らかにすることができた。 また, セメントペースト試験体の浸漬実験に用いた溶液中のpHや各種イオンの変化の調査や, 浸漬前後の試験体のX線回折法(XRD)分析や電子顕微鏡観察を行い, 短期間での浸漬による試験体と浸漬溶液の化学的変化から微生物学的な影響を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標であった, 様々な組成のセメントペースト試験体の実環境および水槽への長期および短期間の浸漬実験を開始することができた。また浸漬後実験後の試験体からDNAを抽出する手法の検討を行い, DNAの抽出方法を改善することができた。さらに浸漬したセメント系材料表面に生息する微生物叢を次世代シーケンサーにて明らかにした。 また, セメントペースト試験体のX線回折法(XRD)や電子顕微鏡観察にて, 短期での海水浸漬による化学的および微生物学的な影響を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は, 実環境等に浸漬した様々な組成・配合のセメントペースト試験体を回収し, 浸漬前後の物理化学的な変化については, X線回折装置(XRD)や熱重量示差熱分析(TG-DTA)等を用いて確認する。また, 微生物学的な影響を確認するために, 次世代シーケンサー等を用いた微生物叢の確認や電子顕微鏡による観察, バイオフィルムや炭酸塩形成等の確認を行う。さらに, 回収した試験体からセメント系材料存在環境下を好む微生物を単離培養し, それら微生物種の同定とそれらの代謝機能の確認を行う。
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