研究課題/領域番号 |
22H01722
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 愛 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (40463781)
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研究分担者 |
三浦 隆治 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 特任助教 (00570897)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2023年度)
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配分額 *注記 |
10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 水素 / ナトリウム / 遷移金属 / 吸着 / 脱離 / 量子化学計算 / 水素吸蔵金属 / アルカリ金属 / 量子計算 / 分子動力学計算 |
研究開始時の研究の概要 |
高活性なナトリウムと水蒸気が反応すると水素が発生し、その水素は水素化ナトリウムになるが、この水素化ナトリウムも反応性が高く、衝突してくる水蒸気と反応して水素を飛散させる. しかし、水素吸蔵金属がその環境中に存在すると、こうした激しい反応を抑止できる. このナトリウムの爆発変容機構を水素の挙動に着目しながら高速化量子計算を用いて明らかにし、有限要素法によるマクロシミュレーションに反映することで、その反応熱伝達の経時変化から水素吸蔵元素の自己鎮火能を予測し、既知の実測現象と比較することで、冷却材としてのナトリウム溶媒を最適化する.
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研究実績の概要 |
ナトリウムは伝熱特性に優れた冷却材としての利点を有する一方で、化学的に活性である為、空気中の水蒸気との接触により急激な化学反応を生じる。アルカリ金属が水や水蒸気と接触して起こす爆発反応によって水素ガスが発生する。この激しいナトリウム-水蒸気反応は、ナトリウムがチタンナノ粒子を包含する場合、その激しさが緩和される事が実証されている。しかし、ナトリウム-水蒸気反応は非常に速く複雑で危険をともなうため、発生した水素の分子または原子の形態は実測し難く、理論的観点からの解析が必要であった。高速化量子分子動力学計算を用いて、ナトリウム-水反応後の水素分子の挙動に着目し、拡散挙動や吸着および脱離過程についてチタン表面のみの時と比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
チタン表面上とナトリウムを含むチタン表面上における水素分子の挙動に着目し、その拡散挙動や吸着および脱離過程について、高速化量子分子動力学計算を用いて比較した。チタン金属上で水素分子は吸着・脱離を経て飛散する様子が見られた。一方、ナトリウムを含むチタン表面上においては、水素分子がナトリウムに吸着した後で解離し、水素化ナトリウムとして水素がナトリウム中に取り込まれる様子が見られた。その後、水素原子はチタン表面に吸着し、チタン格子中に潜入する様子が見られた。このチタン層中のチタン-水素結合を介して潜在する水素原子と、ナトリウム相の水素化ナトリウムの水素が結合して微弱な結合エネルギーをもつ水素分子が発生する。しかし、その水素分子は完全な水素分子ほどの結合エネルギーを有しておらず、チタン表面上で見られたような勢いのある飛散はせず、ナトリウム相上を漂流した後、ナトリウム相中に戻る様子が見られた。 従って、ナトリウム/チタン上で生成する水素分子は飛散しにくいと考えられる。このことが実測で発生水素が抑制される要因であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
高速増殖炉の冷却材である液体ナトリウムは水蒸気と接触すれば水素ガスを発生させ発火するが、水素吸蔵金属であるチタンナノ粒子を含むと水素ガスが減り自己鎮火に至る. この自己鎮火に効力のある元素を水素のナトリウム中での所在と形態を明らかにすることで同定する. 高速化量子計算を用いてチタンナノ粒子を含むナトリウムの爆発変容機構を探り、実測と対比する.
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