研究課題/領域番号 |
22H01850
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
鈴木 洋 神戸大学, 工学研究科, 教授 (90206524)
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研究分担者 |
日出間 るり 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (20598172)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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キーワード | カプセル化蓄熱材 / 過冷却現象 / 構造水 / ゼータ電位 / 過冷却 / マイクロカプセル / 蓄熱材 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではシリカを外殻に有する硬殻マイクロカプセル化蓄熱材に関する過冷却解消現象が,外殻内面に形成される構造水が原因であると考え,構造水の形成と過冷却解消の関係を定量的に明らかにする.さらに構造水厚さの制御を,外殻のゼータ電位の制御によって実現し,蓄熱材の新たな過冷却解消法を確立する.
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研究実績の概要 |
シリカ外殻を有する蓄熱カプセルにおいて,いくつかの無機水和物系の蓄熱材を内包した場合,過冷却が消失する現象が確認されている.そのメカニズムとして,シリカ外殻の内表面において構造水が形成され,内壁近傍の無機水和物の水分子量が低下し,融点が局所的に上昇するためであると考えられる.その証左としてpHが小さいアンモニウムミョウバン(pH=2)においては80Kもの過冷却が生じる.カプセル外殻をなすシリカの等電点はpH=2であり,この場合には構造水が形成されないためであると考えられる,本年度はシリカ外殻のゼータ電位を変更し,過冷却抑制を行う方法を検討した.具体的にはアルミナ,ジルコニアをシリカ外殻に導入によってゼータ電位を改変する手法の検討を行った.なおアルミナについては,高pH領域において,溶解することが判明したので,ジルコニアの導入を行うこととした. ジルコニア導入に関しては,オキシ硝酸ジルコニウム溶液を浸漬させて導入する方法と,ジルコニアナノ粒子(平均径50nm)を導入する方法を試みた.これらのうち,ジルコニアナノ粒子は外殻に対する質量割合が最大で1%程度しか導入できなかった.したがってオキシ硝酸ジルコニウム溶液の浸漬法の検討を主体的におこなった.それにより最大7%のジルコニアをシリカ外殻に導入することに成功した. その結果としてゼータ電位の等電点を,pH2からpH3.5pHまで変更することに成功した.これによりpHが2程度の蓄熱材であるアンモニウムミョウバン水和物の過冷却特性を80Kから50Kに改善することができた.したがって,ゼータ電位改善を行うことで,過冷却解消がなされることが明らかとなった. 今後ジルコニア導入量を増大させることで,ゼータ電位の等電点を大きく変更することによって,より過冷却解消効果が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジルコニア導入方法の確立およびそれによるゼータ電位の変更に成功し,セータ電位の等電点変更によって,過冷却抑制が可能であることがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度においては,ジルコニアの導入量をより増加させ,ゼータ電位の改変を行い,過冷却解消現象に対する影響を,引き続き調べる.また,核磁気共鳴装置(NMR)によって構造水の形成を確認し,過冷却と構造水形成の定量的な関係を調査する. また,本研究では分子動力学に基づいた数値解析によって構造水形成機構を明らかにする.昨年度には水系の数値解析法を確立したが,無機塩溶液については不十分であったので,本年度には無機塩溶液のシミュレーション手法を確立する.
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