研究課題/領域番号 |
22H01853
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
|
研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
赤松 憲樹 工学院大学, 先進工学部, 教授 (50451795)
|
研究分担者 |
南雲 亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20552003)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
|
キーワード | 膜 / ファウリング / 透水性 / 相分離 / ブレンド / NIPS / 分子動力学シミュレーション / 第2ビリアル係数 |
研究開始時の研究の概要 |
膜を利用した水処理などの膜ろ過プロセスでは,ファウリングにより膜性能が低下することが長年にわたり大きな課題である.本研究では,主要な膜素材の1つであるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)に,低ファウリング性を発現するポリマーをブレンドした膜の新規作製法を開発する.実験的手法と計算化学的手法を併用して,ポリマーブレンドおよび製膜を可能にする因子,さらに開発膜のファウリング防止メカニズムを明らかにする.これにより,どんな用途・被処理水に対しても,高透水性と低ファウリング性を併せ持つ最適な膜(精密ろ過から限外ろ過まで)の自在設計を実現する.
|
研究実績の概要 |
本研究は高透水性と低ファウリング性を併せ持つ高分子系複合膜の開発と,表面・細孔構造設計法の確立を目的としている.2022年度はカルボキシベタインモノマー(CMB)と特定の疎水性モノマーの共重合ポリマーを合成すると,ある範囲の組成比であれば,膜母材となるポリフッ化ビニリデン(PVDF)と相溶可能な均一で透明なドープ液が得られることを実証した.またこのドープ液を用いて,非溶媒有機相分離(NIPS)法にて,均質な精密ろ過膜の作製に成功した.このブレンド膜は,牛血清アルブミン(BSA)等のタンパクに対し,優れたファウリング防止性を示すことが明らかとなった.このファウリング防止性向上の主たる理由は,BSA等のタンパクの吸着抑制能の向上にあることを示した.しかも共重合ポリマーのブレンドが膜の透水性の向上にも寄与することが明らかとなった. 一般的にポリマー同士のブレンドは非常に難しいが,PVDFとポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)や,上記のようにCMBと疎水性モノマーの共重合ポリマーとのブレンドは一部可能である.このメカニズムを詳細に検討するため,本研究では分子動力学(MD)シミュレーションを併用している.ドープ液は,膜母材(PVDF),低ファウリングポリマー(PMEAやCMB共重合ポリマー)および溶媒の3成分混合系であるが,2成分系の組み合わせを考え相溶性を議論する新しい手法を提案し,メカニズム解明に挑んだ.その結果, 均質な膜を得るための必要条件と考えられる均一なドープ液の調製には,膜母材とファウリング防止ポリマーの相溶性が最も重要であり,特にベタイン系ポリマーを低ファウリングポリマーとする際は,メチルメタクリレートなどとの共重合ポリマーとすることが効果的であることを,MD計算で得られる動径分布関数から算出できる第2ビリアル係数を用いて系統的に整理することに成功した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した計画通り,研究を進めることができたため.
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度も引き続き,交付申請書に記載した計画通り,研究を進める.研究チームとしては,2か月に1回以上の進捗報告をオンラインあるいは対面で行い,相互にフィードバックを与えあいながら,効率的に研究を推進する.
|