研究課題/領域番号 |
22H01859
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27020:反応工学およびプロセスシステム工学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河瀬 元明 京都大学, 工学研究科, 教授 (60231271)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2022年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
|
キーワード | ペロブスカイト / 太陽電池 / CVD / ビスマス / 非鉛 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽電池用ペロブスカイト半導体の代表的な製法は原料溶液を基板上にスピンコートし、溶媒を蒸発させる溶液法である。溶液法は大面積基板への均質膜の製膜が困難であり、不純物の残留や、ピンホールが生じる問題がある。本研究では、大面積基板への均一製膜が可能で工業的薄膜製造プロセスにもっとも採用されている化学気相成長法(CVD法)により、水分耐性が高く変換効率も比較的高いBi系ペロブスカイト (CH3NH3)3Bi2X9(X = Cl, Br, I)を製造する方法を開発する。反応器上流部で反応物蒸気を発生させる手法と反応管内温度分布を利用した核生成の制御を提案し、新規CVDプロセスを開発する。
|
研究実績の概要 |
原料ガスのメチルアミン(MA)、ハロゲン化水素、ならびに希釈ガスのヘリウムの流路ならびに金属Biを溶融させるセラミックスボートを加熱する電気炉、石英またはSUS316反応管から構成される装置を製作した。反応管は2つの部分からなり、上流側の高温部では金属原料の融解とハロゲン化を行った。原料であるBi源とMAを衝突混合し、下流の製膜部で製膜を行った。 反応管内にビスマスをボートに入れて設置し、電気炉で442 °Cに加熱してビスマスを溶融させた。Heで希釈したHIを供給し、溶融ビスマスとハロゲン化水素との反応でヨウ化ビスマス(BiI3)を気体で反応場に供給できることを確認した。生成したBiI3をHeで希釈し、未反応のHIとともに混合部へ供給した。混合部ではHeで希釈したMAと衝突混合させて製膜部へと供給した。2BiI3 + 3HI + 3MA → MABIの反応が起こり、TiO2付きFTOガラス基板(アステラテック)にMABI薄膜の製膜を行った。 HI流量0.39, 0.78, 1.60 sccmで60 min製膜実験を行った。HI流量が0.78 sccm, MA流量が0.26 sccmのとき橙色の薄膜が得られ,XRDパターンはMABIとメチルアンモニウム(MAI)のリファレンスとよく一致し、新規開発したCVDプロセスでMABI薄膜の製膜に成功したことを確認した。また、UV-vis-NIRスペクトルのTaucプロットで、波長560 nm以下(光子エネルギー2.2 eV以上)の光を吸収していることを確認し、これはMABIの文献値とよく一致している。 また、成膜部温度の探索で、管内温度が140~180 °CでMABI薄膜が製膜できることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験装置を製作し、金属ビスマスを電気炉で溶融させた溶融ビスマスとハロゲン化水素との反応でヨウ化ビスマス(BiI3)を気体で反応場に供給できることを確認できた。生成した膜は白色、橙色、黒色とさまざまであったが、橙色の薄膜はMABIであることを複数の分析手法で確認し、MABI薄膜の生成が確認できた。また、成膜条件の探索も順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き成膜条件の探索をおこなう。全圧、各種ガスの分圧、流量、製膜温度等を変えて、製膜実験を実施する。また、デジタルマイクロスコープ、SEMおよびAFMなどを用いた表面モフォロジーの観察、光干渉式膜厚計や触診式段差計を用いた膜厚の測定を実施する。
|