研究課題/領域番号 |
22H02124
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
小川 昭弥 大阪公立大学, 研究推進機構, 特任教授 (30183031)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | メタルフリー / 常圧酸素酸化法 / グリーン合成 / 医薬関連分子 / イミン / アミン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、アミン類のイミン類への酸化的脱水素反応を、サリチル酸を有機触媒とする常圧酸素(空気)酸化法によって達成し、さらにこの反応系を一連の医薬関連分子の合成に応用する。本メタルフリー酸化法は反応系がシンプルであるため、多くの有機反応を組込むことが可能と期待され、one-potで医薬関連分子を合成し、環境にやさしいものづくりを実践したい。具体的には、(1) β-ラクタム誘導体のグリーン合成法の開発とアミノ酸のジアステレオ選択的合成、(2) 多段階酸化過程を経る複素環合成のone-pot化、および (3) 検査試薬となる発光性分子のグリーン合成法の開発 について検討する。
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研究実績の概要 |
交付申請書に従って、本年度は以下に示す研究成果を得た。(課題1) サリチル酸誘導体を有機触媒とするアミンのイミンへの酸化的脱水素反応の最適化を検討し、常圧酸素雰囲気下トルエン中90℃で2時間反応を行うことで、不安定イミンを系中で発生させ、これを単離することなく、モレキュラーシーブ共存下、系中で発生させたケテンと反応させることで、β-ラクタムを短工程で合成できることに成功した。次年度はこの最適化されたone-pot法を用いて新規なβ-ラクタム類の合成へ展開する。 (課題2) サリチル酸誘導体を触媒としたアミンの常圧酸素酸化法は、Ugi反応に見られるような多成分のone-pot反応に有効であった。そこでベンジルアミンとo-アミノベンジルアミンの多段階反応を取り上げ、詳細に反応条件を検討した。酸化的イミノ化反応、縮合反応、環化反応、芳香族化反応の4つの反応を組込んだ多段階反応をone-potで行うことでキナゾリン骨格を一挙に構築することに成功した。今後はE値などの環境調和指数の最適化を行う。 (課題3) サリチル酸触媒によるトリアリールメタンのメタルフリー合成法を応用すれば、機能性色素であるローダミン誘導体を短工程で合成可能と期待される。詳細に検討したところ、ローダミン誘導体を合成することに成功した。実験者により収率がやや若干変動することから、さらに実験方法の精査を行う予定である。(課題4) 安価サリチル酸自体を有機触媒とする医薬品などの機能性分子のグラムスケール合成について検討し、鍵過程である酸化的イミノ化がサリチル酸触媒によりグラムスケールで合成できることを見出した。さらに、本手法を含窒素ヘテロ環の合成に応用したところ、イミダゾールやチアゾールをグラムスケールで合成できることが明らかとなった。今後、3置換ピリジン骨格を有する医薬品分子のグラムスケール合成に応用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(課題1)では、サリチル酸誘導体を有機触媒とするアミンのイミンへの酸化的脱水素反応について、不安定イミンを系中で発生させ、同じく系中で発生させたケテンと反応させることで、β-ラクタムを短工程で合成可能となった。(課題2)では、サリチル酸誘導体を触媒としたアミンの常圧酸素酸化法としてベンジルアミンとo-アミノベンジルアミンの多段階反応を検討したところ、4つの反応を組込んだ多段階反応をone-potで行いキナゾリン骨格を一挙に構築することに成功した。(課題3)では、サリチル酸触媒によるトリアリールメタンのメタルフリー合成法を応用し、ローダミン誘導体を合成することに成功した。(課題4)では、安価サリチル酸を有機触媒として、鍵過程である酸化的イミノ化がサリチル酸触媒によりグラムスケールで合成できることを見出した。それ以上に、本手法の含窒素ヘテロ環合成への応用では、イミダゾールやチアゾールをグラムスケールで合成できることが明らかとなった。以上から、交付申請書に従って順調に研究を推進していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
(課題1) サリチル酸誘導体を有機触媒とするアミンのイミンへの酸化的脱水素反応では系中で発生させたケテンとのβ-ラクタム合成を達成した。次年度はこの最適化されたone-pot法を用いて新規なβ-ラクタム類の合成へ展開する。(課題2)では酸化的イミノ化反応、縮合反応、環化反応、芳香族化反応の多段階反応をone-potで行うこと可能となったので、今後はE値などの環境調和指数の最適化を行う。(課題3) はローダミン誘導体を合成することに成功したが、実験者に依存する不確定性があるため、さらに実験方法の精査を行う。(課題4)では鍵過程となる酸化的イミノ化がサリチル酸触媒によりグラムスケールで合成できることを見出し、イミダゾールやチアゾールをグラムスケールで合成できることが明らかにしたことから、今後は、3置換ピリジン骨格を有する医薬品分子のグラムスケール合成に応用する予定である。
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