研究課題/領域番号 |
22H02132
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大下 浄治 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (90201376)
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研究分担者 |
安達 洋平 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (50805215)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 元素ハイブリッド / π共役系材料 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、有機光電子デバイスへの応用も含めて、π共役系材料が注目されている。本研究では、無機元素の導入による有機共役材料の精密機能制御とそれを利用した高機能有機光電子材料の開発がどこまで可能かという学術的な問いを解明するため、13-15族の様々な無機元素を導入したπ電子系ユニットのライブラリーを構築し、無機元素によるπ電子系の電子的・立体的影響を明らかにする。さらに、それらの高分子化・ハイブリッド化などによる新しい機能材料開発の指針を確立し、これまでにない材料設計につなげる。
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研究実績の概要 |
現在、有機光電子デバイスへの応用も含めて、π共役系材料が注目されているが、このデバイス中では、さまざまな機能を有する複数の材料が協奏的に働くために、材料間の電子状態のバランスや親和性を精密に調整する必要がある。また、高機能・多機能な分子を創製するためには、分子を構成するユニットの電子状態の制御が重要である。本研究では、13-15族の無機元素の導入によるπ電子系の精密機能制御の可能性を明らかにし、新たな分子設計の指針を提供する。特に、無機元素を導入したπ電子系ユニットのライブラリーの構築、無機元素による電子的・立体的影響の解明によるπ電子系機能の精密制御の解明、および、それらの高分子化・ハイブリッド化などによる新しいπ共役系材料開発指針の確立を目的としている。 特に、2022年度は、無機元素としてホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、ビスマスに着目して研究を進めた。具体的には、無機元素の導入によるπ電子系の電子状態制御という本研究の目的を達成するため、チアゾール骨格をゲルマニウムで架橋した新しい骨格を構築し、各種の分析と分子軌道計算から、適度なドナー性を持つ骨格として、その電子状態を明らかにした。また、強い電子受容性の骨格との共重合によって高分子化も行い、溶解性・製膜性が良く、低いHOMOを持つドナー-アクセプター型の共役系高分子としての応用の可能性を見出した。さらに、分子修飾を施すことによって、ハロゲンイオンやアミンの選択的な蛍光センサーとしても利用を示した。また、アンチモンおよびビスマス置換基のπ電子系への置換基効果の検討、ホウ素-ビスマスの元素ハイブリッド分子の合成にも着手し、ほぼ合成法を確立することができた。これらの新規化合物の物性・機能に関しても検討を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した13族元素のバリエーションはまだ少ないが、14族のケイ素、ゲルマニウム、15族のアンチモン、ビスマスを利用した分子設計をベースに新規な無機元素を導入したπ電子系化合物の合成と物性評価、機能開発を行っている。これらの無機元素の導入による物性・機能に対する効果を系統的に検討するとともに、既に高分子化にも成功し、センサー材料にも展開して研究を進めている。以上のことから、無機元素の導入によるπ電子系の精密機能制御と新しいπ共役系材料開発指針の確立という目標に向かって、おおむね順調に研究を進めることができていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に新しい無機元素で架橋したπ共役分子・ポリマー、無機元素置換のπ電子系の合成を行い、元素の導入に由来する興味深い物性制御を検討した。今後も系統的な研究をさらに展開するとともに、新しい無機元素の導入にも取り掛かる。特に、2023年度は以下に示す3つの項目に関して、具体的に研究を実施する。 1.無機元素で架橋した新規π電子系の構築:2022年度合成したチアゾールをゲルマニウム架橋した骨格のセンサーや電子輸送材料などへの応用展開をさらに検討する。他に、[2,3’]-ビチオフェンやトリアゾールなどの新しいπ電子系のゲルマニウムなどの無機元素による架橋に取り掛かり、合成した新規π電子系の吸収・発光スペクトル、電気化学測定、熱重量分析、X線結晶構造解析などを行い、構造・物性・機能を明らかにする。これらの新規な無機元素導入π電子系に関して、シミュレーションを行い、分析結果と照らし合わせることで、物性・機能発現のメカニズムを解明する。得られた無機元素架橋π電子系の材料化を試みる。 2.高周期無機元素を利用したπ電子系の立体的制御:2022度、 アンチモン, ビスマスが置換したビフランを初めて合成することに成功した。また、これら置換基の種類によってフラン環同士の平面性を制御できることを見出した。2023年度は、ヒ素置換した分子に検討の範囲を拡大する。さらに、以前合成が報告されているリン置換体の物性と比較しながら、シミュレーションなどによって置換元素の違いに着目して置換基効果のメカニズムを明らかにする。 3.元素ハイブリッド材料の合成:2022度合成に取り掛かったホウ素-ビスマスの元素ハイブリッド分子の物性・機能評価を行い、そのポテンシャルを明らかにするとともに、次の分子設計につなげる知見を得る。また、その他の無機元素の組み合わせによる新しい元素ハイブリッド系の構築にも取り掛かる。
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