研究課題/領域番号 |
22H02139
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35020:高分子材料関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
前田 寧 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (60242484)
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研究分担者 |
松本 篤 福井大学, 学術研究院工学系部門, 助教 (20812978)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 高分子構造・物性 / ラマン分光法 / 偏光 / 高分子結晶 / コヒーレントアンチストークスラマン / 球晶 / ナノ構造 |
研究開始時の研究の概要 |
偏光変調ラマン散乱光のスペクトルとイメージを高速・高空間分解能で測定する顕微ラマンシステムを開発し、高分子の流動下での配向変化や高次構造形成過程の解析のために用いる。高分子のコンフォメーション、配向、キラリティ、相互作用の空間分布に関する情報を同時に得られることに特徴がある。具体的には、①コヒーレントアンチストークスラマン散乱と探針増強ラマン散乱によるスペクトルとイメージの取得を行うことができる装置の開発、②結晶化時の高分子の配向と相互作用変化の解析、③流動下における高分子の配向と分子間・イオン間相互作用の相関の解明、④溶液中でのブロック共重合体の自己組織化機構の解明、を目的とする。
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研究実績の概要 |
原子間力顕微鏡(AFM)-ラマン複合装置および角度分解顕微偏光ラマン分光装置を新たに試作して、高分子のリングバンド球晶における高分子鎖の配向の解析に応用した。並行してパルスレーザーを用いたコヒーレントアンチストークスラマン分光装置の開発も進めた。 AFM-ラマン複合装置は、倒立型顕微鏡にピエゾステージ、AFMヘッド、レーザー(532nm)、分光器、冷却CCD検出器等を取り付けて試作した。偏光顕微鏡(POM)像とAFM像の観察と3次元ラマンイメージングを行なうことができる。POM像より複屈折の、AFM像よりラメラのねじれやラメラ厚の、ラマンイメージより高分子鎖の配向の、空間分布を高い分解能で、試料の同一位置で調査できる。さらに、金または銀でコートしたAFM探針を用いることで、探針増強ラマン散乱(TERS)によるナノスケールの微細構造解析を行うこともできる。 角度分解顕微偏光ラマン分光装置は、正立型顕微鏡にレーザー、1/2波長板、分光器・検出器、x,yステージ等を取り付けて試作した。1/2波長板の回転によりレーザーの偏光方向を変えながら、ラマン散乱光の水平成分と垂直成分の強度を測定することで角度分解偏光ラマンスペクトルを得て、さらに、x,yステージで試料を走査することで分子配向によるイメージングを行なうことができる。各ラマンバンドの強度の角度依存性を理論式によりフィッティングすることで、単位格子と実験室座標系の間のオイラー角およびラマンテンソルの各成分の値を求めた。 これらの装置を用いてポリエチレン、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等のリングバンド球晶において、球晶の成長方向に沿ったラメラの配向変化を調査した。異なる仕方でラメラの配向が変化しているという結果が、暫定的に得られており、異なるメカニズムによるリング状パターンの生成が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
原子間力顕微鏡-ラマン複合装置と角度分解顕微偏光ラマン分光装置の開発はほぼ予定通りに進んでいるが、コヒーレントアンチストークスラマン分光装置の開発がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
開発した原子間力顕微鏡(AFM)-ラマン複合装置および角度分解顕微偏光ラマン分光装置を用いて、種々の条件で作成したリングバンド球晶におけるラメラの配向を静的に解析する。また、より高い時間分解能での測定が可能であるコヒーレントアンチストークスラマン分光装置の開発を進め、リングバンド球晶の生成を動的に解析し、ラメラの組織化による高次構造形成とリング状パターン形成のメカニズムを明らかにする。
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