研究課題/領域番号 |
22H02397
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
岩泉 正和 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (50391701)
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研究分担者 |
平尾 知士 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (90457763)
高島 有哉 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (40738077)
井城 泰一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (40370845)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | クロマツ / マツノザイセンチュウ抵抗性育種 / 遺伝子多様性 / 抵抗性候補関連遺伝子群 / 一塩基多型(SNP) / Amplicon-Sequence / 次世代育種 / マツノザイセンチュウ抵抗性 / 遺伝的多様性 |
研究開始時の研究の概要 |
マツノザイセンチュウ抵抗性を高める上では、抵抗性マツ集団に存在する多様な抵抗性関連遺伝子群の次世代育種における維持・集積が重要である。そのため、従来の集団遺伝学的な多様性評価を目的とした中立的遺伝マーカー(核SSR)を用いた解析ではなく、抵抗性と関連する遺伝子座における多様性評価が必要となる。本課題では抵抗性クロマツを対象に、近年整備された抵抗性関連候補SNPマーカーを用いて遺伝子型を特定し、抵抗性関連候補SNP群における地域的な遺伝子組成の特徴を明らかにするとともに、核SSRとの遺伝構造の違い等を把握する。得られた結果から今後の育種戦略の構築とマツ林再生に資する「遺伝子多様性」の知見を得る。
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研究実績の概要 |
【概要】抵抗性集団と非抵抗性集団について、クロマツとアカマツをあわせて、従来の中立遺伝マーカーによる遺伝的多様性の評価を進めたとともに、クロマツについてはSNPジェノタイピングシステムの構築を進めた。 【具体的内容】抵抗性集団と非抵抗性集団(精英樹・野外集団)における、従来の中立遺伝マーカーによる遺伝的多様性を把握するため、主に東北・関西・九州の各育種基本区において未タイピングの抵抗性・精英樹クロマツ・アカマツについてジェノタイピングを行い、系統整理を進めた。過去の野外集団の研究で利用されたクロマツ・アカマツの核SSRマーカー(それぞれ7マーカー・8マーカー)に基づき、既に遺伝子型評価された抵抗性集団と野外集団のSSR遺伝子型を整理するとともに、系統整理された抵抗性・精英樹集団についてはレファレンスDNAを用いてSSR遺伝子型を決定した。令和4年度末までに、関東育種基本区の抵抗性・精英樹アカマツ以外についてはひととおり、クロマツ・アカマツの両樹種において全国の抵抗性・精英樹・野外集団の3者のSSR遺伝子型を取得した。 またクロマツについて、抵抗性関連候補遺伝子座群に基づくゲノムワイドDNAマーカー(SNP)を用いて予備的分析を行い、ゲノムワイドSNP分析(Amplicon-Sequence)実施のためのマーカーセットとジェノタイピングシステムの構築を進めた。既にレファレンス針葉サンプルのある抵抗性・野外集団クロマツについては、上記分析システムに供試する高収量DNAの抽出と精製を進めた。また、近く得られる大量SNPジェノタイプデータと上記マツ群における利用上の繁殖形質・特性との関連性を評価するため、全国の育種場で保存されている抵抗性・精英樹クロマツのうち約100系統から球果を採取して、球果サイズや鱗片形態、種子サイズ等の球果諸形質データを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、これまで未タイピングだった地域の抵抗性・精英樹クロマツの系統整理を進め、ゲノムワイドDNAジェノタイピングのための準備を進めた。またあわせてアカマツの抵抗性・精英樹集団の核SSRタイピングも進め、国内マツの遺伝資源(選抜集団)を網羅する形でその遺伝的管理のための多様性評価(種内の遺伝的多様性(野外集団)との比較)を進めた。クロマツの抵抗性以外の形質評価についても進め、特性関連遺伝子群の解明にもつながる更なる研究シーズを検討した。以上の進捗状況から、おおむね順調に課題を推進できていると考えた。 成果公表についても、本研究の基盤知識となる抵抗性マツ種苗の性能評価に関する詳細な知見を原著論文や学会発表の形で社会発信することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.核SSR分析・多様性解析 令和5年度以降も引き続き、4育種基本区を担当する分担者・協力者と連携して、各所・場内にあるクロマツ・アカマツの抵抗性・精英樹集団についてDNA分析試料(針葉)を採取し、DNAを抽出・精製・調整する。抵抗性集団と非抵抗性集団における、従来の中立的遺伝マーカーによる遺伝的多様性を把握するため、岩泉が中心となり、過去の野外集団の研究で利用されたクロマツ・アカマツの核SSRマーカー(それぞれ7マーカー・8マーカー)に基づきDNA分析とSSR遺伝子型の決定を進める。 2.ゲノムワイドDNAマーカー(SNPマーカー)の構築および分析 本研究で適用するSNPマーカーは、近年クロマツで評価されたゲノムワイドな(連鎖地図上を網羅した)SNP群であり、抵抗性形質との関連性が考えられる候補SNP群(約2,000マーカー)を中心として多様性解析を試みる。令和4年度に引き続き、平尾が中心となり、予備的分析を進め、ゲノムワイドDNA分析技術に基づくSNPジェノタイピングシステムを始動させる(Amplicon-sequenceまたはGRAS-Diを予定)。予備的分析を踏まえ、岩泉と平尾が中心となり、本分析に着手する。本分析に供試するサンプルの構成は、核SSRによる遺伝的多様性の結果も踏まえて検討する必要はあるが、現在のところ、抵抗性集団と、精英樹集団(約500系統)および野外集団(500サンプル程度を選出)を対象として、SNPジェノタイピングと遺伝子型の決定を行う考えである。
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