研究課題/領域番号 |
22H02620
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
佐伯 恭範 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 客員教授 (30794458)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | コレステロール / 脂質輸送タンパク質 / 小胞体 / 細胞膜 / 膜接着部位 / 神経細胞 / ステロイドホルモン |
研究開始時の研究の概要 |
コレステロールは生体膜の主たる構成成分であり、生体膜の機能維持や細胞内シグナル伝達の調整に重要な役割を担っている。それゆえ、コレステロール分布の破綻は、代謝疾患、神経変性疾患を含む様々な疾患の要因となる。しかしながら、その細胞内輸送メカニズムに関しては不明な点が多い。本研究においては、コレステロール輸送タンパク質に注目し、細胞内コレステロール輸送の分子機構およびその生理的役割の解明を試みる。本研究は、コレステロール輸送機構に関する知見をさらに深め、神経疾患や関連疾患の病態解明および新規治療法の発見に寄与すると考えられる。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、主に細胞内コレステロール輸送機構に注目し研究を行った。具体的には、進化学的に保存されたコレステロール輸送タンパク質の一群を欠損させた、ノックアウトマウスおよび線虫を作成し、その表現系解析を行った。その結果、コレステロール輸送タンパク質が欠損すると、神経細胞の機能に異常が生じることがわかった。また、興味深いことに、コレステロール輸送タンパク質を欠損させた線虫においては、ステロイドホルモンの分泌異常に関連する表現系が見つかった。ステロイドホルモンは、コレステロールを原料として作られているため、この結果は、コレステロール輸送タンパク質が線虫において、ステロイドホルモン産生に非常に重要な役割を担っている可能性があることを示唆している。また、これらコレステロール輸送タンパク質が保有しているコレステロール感知領域のアミノ酸配列に変異を加えることにより、コレステロール輸送タンパク質のコレステロール感知能を大幅に変化させることが可能であることがわかった。それゆえ、適度なアミノ酸変異を加えたコレステロール感知領域と蛍光タンパク質を融合させることにより、細胞内においてコレステロール分布を可視化することが可能であると考えた。これらの結果に基づき、現在、新規コレステロール感知プローブの開発を進めている。また、種々のコレステロール輸送タンパク質が細胞内でいかに協調してコレステロール分布を調整しているかを突き止めるため、スピニング共焦点顕微鏡および全反射顕微鏡を用いて、コレステロール輸送タンパク質を欠損させたノックアウト細胞を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の主な目標として、細胞内コレステロール輸送機構の生理的役割に関しての研究を推し進めていくことを挙げていたが、ノックアウトマウスとノックアウト線虫の解析に大きな進展があり、おおむね目標を達成出来たと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、顕微鏡および生化学的手法を駆使し、細胞内コレステロール輸送メカニズムに関する研究をさらに推し進めていきたいと思っている。また、熊本大学・生命資源研究・支援センターの先生方との共同研究を積極的に行い、令和5年度以降にもつながる研究を行なっていきたいと考えている。
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