研究課題/領域番号 |
22H02682
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45030:多様性生物学および分類学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中野 智之 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 講師 (90377995)
|
研究分担者 |
上條 隆志 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10301079)
高山 浩司 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60647478)
岸本 年郎 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 教授 (70728229)
廣田 充 筑波大学, 生命環境系, 教授 (90391151)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
|
キーワード | 西之島 / 海洋島 / 分散 / 遷移 / モニタリング / 長距離分散 / 維管束植物 / 土壌微生物 / 生物遷移 / 火山島 / 生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
小笠原諸島の西之島は、2013年からの噴火によりほぼ全ての陸地が溶岩に覆われ新たな島となった。西之島は最も近隣の小笠原諸島父島から約130km離れた海洋島であり、海洋島における生態系の成立過程を観察できる世界で唯一の場所である。令和元年度に環境省が実施した総合学術調査において海産無脊椎動物、陸上植物、昆虫等陸棲節足動物、土壌微生物が採集された。本研究課題では、主にDNA解析に基づき、海産無脊椎動物、植物、昆虫、土壌微生物の視点から、「なにが」、「いつ」、「どこから」、「どのように」遷移が起きたのかを人類史上初めて明らかにするものである。
|
研究実績の概要 |
西之島の生物相の起源を調べるため各分類群についてサンプル採集および解析を行った。 海洋生物については、カニ類を対象に、試料収集と遺伝子解析を実施した。西之島と小笠原父島のオオイワガニは遺伝的に近縁であるが、沖縄のオオイワガニとは遺伝的に離れていることが分かった。しかしながらカクレイワガニは西之島、小笠原父島、沖縄で遺伝的にほとんど変わらない事が分かった。 維管束植物に関しては、スベリヒユ、イヌビエを対象に試料収集と遺伝子解析を実施した。今年度はスベリヒユについて、葉緑体ゲノム解析とMIG-seq法を用いたゲノムワイド一塩基多型解析を行った。その結果、日本には2つの大きく異なる系統が存在し、それぞれ外国産のスベリヒユに遺伝的に近縁なものが見られることが分かった。さらに、日本国内で見られる2つの系統のうち1つの系統のみが西之島および父島に分布している可能性が示された。 藻類については、2019年の西之島で得られた藻類について形態観察と分子系統解析,ITS2配列の二次構造比較を行った。その結果、トレボウクシア藻綱のChloroidiumに属することが示唆された。既知種とは明確に区別することができるため,本株はChloroidiumの未記載種と結論づけ,新種記載を行う準備を進めている。 土壌微生物については、火山噴火降下物について、微生物の16S rRNAメタアンプリコンシーケンスを行い、その遺伝情報に基づくメタゲノム解析で分類同定を行った。各サンプルの微生物群集の多様性と群集構造の類似性解析を進める予定である。 昆虫については、小笠原諸島び伊豆諸島において共通種の採集を進めた。また、2022年7月に西之島総合学術調査に参画し、2019年の噴火以降初めて、分解者であるヤニイロハサミムシ・トビカツオブシムシ及び島外から飛来したニセタマナヤガの存在を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各分類群において、研究分担者が協力し合い、伊豆諸島、小笠原諸島、南西諸島からのサンプルの採集を効率的に進められている。その結果、十分に集まった分類群より順次遺伝子解析へと研究を進められている。
|
今後の研究の推進方策 |
各分類群においてまだサンプルが必要なものについては、2023年度に追加でのサンプル採集を行う予定である。またミトコンドリアDNAの部分配列では遺伝的な差が検出できなかった分類群においては、MIG-seq法を用いたゲノムワイド一塩基多型解析を用いる事でより詳細な解析を行う予定である。また西之島周辺海域から採水した海水サンプルより環境DNAを用いた解析を行う予定である。
|