研究課題/領域番号 |
22H02709
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45050:自然人類学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
松村 博文 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (70209617)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | ホモ・サピエンス / 拡散移住史 / 農耕 / 頭骨 / 3次元形状 / 頭骨3次元形状 / 相同モデル / 農耕拡散 / 旧石器時代 / 新石器時代 / 二層モデル / 移住 / 現生人類 / 3次元相同モデル |
研究開始時の研究の概要 |
ホモ・サピエンスは、約5万年前の後期更新世の脱アフリカ時における初期の拡散移動以来、様々な移住が繰り返されたと考えられるが、とりわけ完新世の新石器時代の農耕開始時にもグローバルスケールでのヒトの移動があったとする「農耕拡散仮説」は、サピエンスの人類史のなかでも極めて大きなパラダイムの一つである。本研究では、旧石器時代まで遡る先史遺跡と現代人の頭骨を用いて、新手法である高精度三次元表面形状の相同モデル解析を適用し、東西アジアからヨーロッパを含めた農耕集団と採集狩猟民の気候適応をふまえた形態的特徴と相互の系譜関係を網羅的に解明し、農耕拡散という事象を関連づけた現生人類の大移住史を復元する。
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研究実績の概要 |
農耕拡散にともなう人類史復元のため、新手法である3次元スキャナによる頭骨表面座標のデータを用いた相同モデルによる解析をこころみている。これまで全世界から400例以上の現代人頭骨のデータを蓄積させているが、ユーラシアへ拡散したホモ・サピエンスのアフリカからの拡散過程を解明するためには、旧石器時代までさかのぼった先史時代の頭骨形状データが必須であり、3年計画でアジア、ヨーロッパ、アフリカ、太平洋の広範囲の地域の先史遺跡の出土人骨にアプローチし、データの収集をおこなっているところである。 本年度は、ヨーロッパでは、ラトビアのKivutkalns遺跡、Cunkani Dreng遺跡、Kivti遺跡、Nkusi遺跡、Zvejnieki洞穴の出土骨、イタリアのシシリーに位置するSan-Tedoros洞穴、Oriente洞穴、Uzzo洞穴、Morara洞穴、フランスの旧石器人を代表するCro MagnonおよびAbri Pataud、中石器時代のHoedic遺跡、Telvic遺跡、10万年前のQufze洞穴など、多数の重要文化財級の旧石器時代の人類化石から青銅器時代までに至る頭骨標本の3次元形状データを収集することができた。またこれらヨーロッパの資料に加え、アジア地域においてもカンボジアの青銅器時代のPhum Snay遺跡とPhum Sofy遺跡、1800年代にデュボワが発見したジャワの3万年前のWajak人化石や、スマトラ島Gua Harimau洞穴、およびジャワ島のSon Terus洞穴遺跡の中石器時代から青銅器時代の頭骨データを収集することができた。 いっぽう、3次元相同モデルの解析手法や破損頭骨デジタル復元の手法も構築することができた。前者については現代人データのみを用いて頭骨の全世界的集団変異をの解析をおこない、Scientific Reportに論文を公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ほぼ予定していた各地の貴重な頭骨標本にアクセスすることができ、想定以上にデータ収集が進んでいる。すでにデータ収集済みおよび次年度以降収集予定の件も含めて、フランス、イギリス、デンマーク、イタリア、ラトビア、アメリカ、オランダ、ベトナム、インドネシア、カンボジア、中国、台湾、ロシアの13カ国海外連携研究者合計37名の資料提供の協力を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
解析に必要なデータ収集は、ユーラシアおよびアフリカ、オセアニアの広域に及ぶことから、5年計画の研究のうち各地に出張しての頭骨3次元データの収集に3年を見込んでいる。特に中国、台湾の資料については、本格的にデータ採取に取りかかる予定。必要に応じて西アジアについてはトルコ地震のため延期を検討。インドネシアの研究改革庁とは研究手法や先史人骨の修復保管のための技術指導を含めた共同研究の協定を結ぶことにより、今後発掘される人骨も含めてインドネシア全土の研究資料の提供に協力を得られることとなった。
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