研究課題/領域番号 |
22H02803
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
松岡 達 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (00263096)
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研究分担者 |
竹田 有加里 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (20582159)
長谷川 奏恵 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (20770358)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 心臓 / 代謝 / 自動能 / ミトコンドリア |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、洞房結節細胞の自動能発生に“ミトコンドリア-筋小胞体-細胞膜Ca2+連関”が関与するとの仮説を提唱している。研究代表者らは、一連の研究過程で高グルコース投与により、マウスの洞房結節細胞、ランゲンドルフ灌流心臓及びⅠ型糖尿病モデルマウス個体で、洞房結節機能不全が発生するとの新しい知見を得た。本研究は、1)洞房結節の代謝-自動能連関の解明、2)高血糖が洞機能不全を誘発する機序の解明、3)数理モデル解析によるヒト心臓における高血糖誘発洞機能不全の検討を行い、“洞房結節の代謝-自動能連関”の生理的及び病態的意義を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
・マウス心臓から洞房結節を取り出し、コレゲナーゼ処理により洞房結節細胞を単離した。 ・倒立顕微鏡透過像下に洞房結節細胞収縮を高速イメージング法(2ミリ秒間隔, 256 × 256 pixels; 0.11 μm/pixel)で記録した。記録した動画から、細胞収縮を効率よく検知し、収縮間隔(CI)を測定する方法を確立した。また、CIをポアンカレプロットで解析するソフトを自作した。さらに、洞房結節細胞にCalbryte520を負荷して蛍光を高速イメージング法で測定することで、細胞質Ca2+動態を測定した。 ・高濃度(25 mM)グルコースを投与すると、短時間のCI変動が増加する傾向が見られた。また、収縮間隔平均値の±5×標準偏差(5SD)を超える収縮間隔を示した収縮の数が、高濃度グルコース投与時に有意に増加した。細胞質Ca2+動態測定では、筋小胞体から放出される局所的なCa2+放出(Local Ca2+ release, LCR)の振幅が、高濃度グルコース投与により増大し、収縮周期早期のLCR発生頻度が増加することが明らかになった。 ・ミトコンドリア活性酸素(ROS)をmtSOX Deep Redを用いて測定したところ、高濃度グルコース投与によりミトコンドリア由来のROSが増加することが示された。 ・ミトコンドリアCa2+輸送体の局在を考慮した“ミトコンドリア-筋小胞体-細胞膜Ca2+連関”を組み込んだ新しい洞房結節細胞モデル開発に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
洞房結節細胞収縮を効率よく測定し収縮頻度を解析する方法を確立できたこと、細胞収縮解析および細胞質Ca2+動態解析が順調に進んでいること、新しい数理モデル開発に着手したことから概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、細胞収縮および細胞質Ca2+動態に対する高グルコースの影響、および細胞内活性酸素に対する高グルコースの影響を継続して解析する。また、筋小胞体内Ca2+含量に対する高グルコースの影響を調べる。臓器レベルまたは生体レベルでの高グルコースの影響を調べるためにランゲンドルフ灌流心測定や個体での心電図測定を行う。さらに、数理モデル開発を進める。
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