研究課題/領域番号 |
22H02806
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48020:生理学関連
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
成清 公弥 東邦大学, 医学部, 助教 (70599836)
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研究分担者 |
船戸 弘正 東邦大学, 医学部, 教授 (90363118)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 徐波 / 大脳皮質 / 前障 / 視床 / 睡眠 |
研究開始時の研究の概要 |
「徐波」はノンレム睡眠中に大脳皮質全体で見られる脳波であり、記憶の固定化、シナプス恒常性、睡眠要求などに密接に関与することから、睡眠の機能を考える上で重要な現象である。近年この徐波には相反する機能を持つ高振幅二相性と低振幅単相性の二種類が混在していることが明らかになってきたが、この競合的な二種類の徐波を生成する神経メカニズムはまだわかっていない。本研究では、マウスを用いて、電気生理学、光・薬理遺伝学などの手法により、二種類の徐波を生成する神経メカニズムとその機能の違いを、皮質・視床・前障の三領域間ネットワークに基づいて明らかにする。
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研究実績の概要 |
睡眠中の特徴的な脳波である徐波は、睡眠の様々な機能と関連している。この徐波には、機能の異なる複数の種類が存在する可能性があるが、その徐波を発生させる神経回路メカニズムは不明である。本研究では、大脳皮質、視床、前障という3つの領域に注目し、異なる種類の徐波が生成されるメカニズムを探る。 本研究計画の初年度は、研究の基盤となる実験システムの開発を中心に行った。複数のファイバーフォトメトリーと電気生理学的記録法を組み合わせた測定システムを構築し、アデノ随伴ウイルスベクターにより直接投射関係にある特定の大脳皮質、視床、前障の3領域の神経細胞に蛍光カルシウムセンサーを発現させ、徐波と各脳領域の神経活動の同時測定を実現した。この測定システムにさらにオプトジェネティクスによる神経活動操作を組み合わせて、各脳領域間の活動の因果関係の検証を進めている。この実験システムにより、徐波発生中の各脳領域の活動が高い時間分解能で観察可能になり、領域間の相互関係についての新たな知見が得られ始めている。加えて、徐波に伴う脳活動を高い解像度で観察できるようにするために、広範囲の大脳皮質の神経活動を可視化する広域カルシウムイメージングの実験システムも構築し、徐波に伴う大脳皮質活動の空間分布や伝搬過程の観察も可能になった。 また徐波の生成に関与する神経細胞種の特定のために、活動した神経細胞を特異的に標識、可視化してその活動の操作をすることのできる遺伝子改変マウス(TRAP2マウス)を導入して、徐波の生成中に活動した神経細胞を標識する実験も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は今後の研究の基盤となる実験システムである、投射関係にある複数の脳領域からのファイバーフォトメトリーおよび電気生理学的記録法、オプトジェネティクスによる神経活動操作、広域カルシウムイメージングの3つを構築することができたため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は開発した実験システムの精度を向上させるとともに、徐波の生成に関わる各脳領域間の因果関係の検証を中心に進める予定である。
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