研究課題/領域番号 |
22H03021
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 光宏 京都大学, 医学研究科, 教授 (30584255)
|
研究分担者 |
中尾 恵 京都大学, 医学研究科, 教授 (10362526)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 医学物理学 / 統計形状モデリング / 圧縮センシング / 敵対的生成ネットワーク / 寡分割高精度放射線治療 / 統計呼吸動体モデル / 時空間画像データ / 適応放射線治療 / 非侵襲呼吸性移動対策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,放射線治療の各工程で取得可能な低次元かつ局所的な情報のみを手がかりに,最先端のデータ駆動型アプローチ(統計形状モデリング,圧縮センシング,敵対的生成ネットワーク等)を活用することで,患者固有の生体臓器に関する高次元かつ広範囲の状態復元や状態表現を可能とする基盤技術を開発し,安全で非侵襲な高精度寡分割照射の実現を目指す.本研究成果は疾患や放射線の種類に依存しないため汎用性が高く,放射線治療におけるパラダイムシフトや破壊的イノベーションにつながることが期待される.
|
研究実績の概要 |
CBCT画像上のアーチファクトを除去する方法を開発した.膵臓癌23症例の治療計画用CT(pCT)を使用した.pCTのAxial画像中心に撮影角度が200°の回転撮影を想定した疑似投影画像(synthetic DRR:sDRR)を生成し,疑似CBCT(sCBCT)を再構成した.sCBCT画像のアーチファクトは,sDRR画像生成過程において蠕動運動の大きさや周期等を変動させることで再現した.14症例(910スライス組)のpCT-sCBCTデータのペアを学習データとして,CycleGANとpix2pixを用いてsCBCTのアーチファクト低減(AR)学習モデルを構築した.その後,学習データとは異なる9症例(585スライス組)から生成したpCT-sCBCTデータを用いて,AR処理後のsCBCT画像とpCT画像の画質評価指標(平均絶対誤差:MAE,構造的類似性:SSIM)を算出した.AR処理前のsCBCT画像のMAEおよびSSIMの中央値は60.0 HUおよび0.52であったが,CycleGANでは32.3 HUおよび0.60,pix2pixでは26.9 HUおよび0.62へと改善した. 一方,非侵襲な動体追尾照射を実現する方法として,CBCT投影画像から抽出した横隔膜波形を活用した腫瘍位置予測モデル(PM)構築法を開発した.透視撮影の最初の60秒をPM構築時間とし,透視撮影から横隔膜の頭尾方向移動量を高時空間分解能で表すAmsterdam shroud(AS)信号を取得した.4D-CBCT波形の振幅と位相をAS信号により補正した後,外部呼吸信号と補正後波形からPMを構築した.撮影時間の残り10秒間においてPMの予測誤差を算出した.その結果,3次元予測誤差が3 mm以内であった割合は85.3%であった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
治療計画用CTから蠕動運動に起因するアーチファクトを再現した疑似CBCTを生成するアルゴリズムを開発した.本手法により,蠕動運動に起因するアーチファクトを有する医用画像を自在に生成でき,学習データの拡張が可能となった. また,患者胸部の回転透視画像から横隔膜信号を抽出することに成功し,時空間分解能を補正した腫瘍位置予測モデルを生成できた.
|
今後の研究の推進方策 |
提案手法のさらなる検証と改良を進め,非侵襲かつ安全な高精度寡分割照射の実現に向けた研究を推進していく.
|