研究課題/領域番号 |
22H03035
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
竹内 純 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (10451999)
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研究分担者 |
小柴 和子 東洋大学, 生命科学部, 教授 (30467005)
井原 健介 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (50770210)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 先天性疾患 / 非コードRNA / 転写制御 / TBX5 / 非コード領域 / 心臓発生 / 先天性心疾患 / エピゲノム / 非コードゲノム領域 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトHolt-Oram症候群(HOS)はその責任遺伝子であるTBX5のコーディング領域内変異箇所によって、心臓ー上肢疾患の重症度が異なることから組織特異的な共役因子との制御機構が存在すると考えられている。研究代表者らの先行研究結果から、2つの新規長鎖型非コード(long non-coding) RNA: lncRNA(Gm5563:心臓、Gm42017:上肢)が心臓―四肢発生のみならず、Tbx5と協調的作用で下流遺伝子発現を調節している可能性を見出した。本研究では、Gm5563/Gm42017遺伝子破壊モデルを用いての分子生物学・生理学・生化学観点から研究を遂行する。
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研究実績の概要 |
本研究では、先行研究・萌芽的研究成果から見出された、ヒト先天性心疾患責任遺伝子の一つTBX5遺伝子座において逆方向に転写される2つのlncRNA (Gm5563(心臓特異的)/Gm42017(上肢特異的))に焦点を当てて、マウスモデルとヒトiPS細胞由来分化心筋を用いてヒト先天性疾患重症化のメカニズムの理解を目指す。2022年度に遂行した研究結果を下記に記す。 1;Tbx5;Gm5563多重遺伝子破壊マウスの形態解析:CoMBI/EFICを用いた3D空間解析により内部構造の詳細なデータを得ることができた。心室肉柱と房室中隔構造の消失、心房構造の縮小または消失、第一第二咽頭弓の融合または消失、が見受けられた。Tbx5単独のKOでは見受けられないこと、かつ、HOS患者ではレアなケースではあるが前述のような形態異常は報告されていることから、TBX5と遺伝的相互作用する機能性エピゲノム因子であると考えられる。 2;Tbx5; Gm42017多重遺伝子破壊マウスの形態解析:iGONAD法を用いて多重遺伝子破壊マウスの作成に成功している。心臓形態異常はTbx5単一遺伝子破壊マウスとほぼ同程度であったのに対して、Tbx5+/-;Gm5563+/-マウス胚心臓ではTbx5+/-マウスと同程度の表現型であったのに対し、上肢においてはTbx5単一遺伝子破壊マウスと同程度の発生異常が見受けられた。このことから二つの非コードRNAによって、Tbx5は特異性を獲得していると考えられる。 3;非コードRNAと相互作用する因子の同定:心臓転写因子Tbx5と特異的に相互作用することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は3つのプロジェクトの進展が見られた。各々での遺伝子破壊(KO)マウスでの形態異常のデータ獲得が得られ、それぞれのKO マウスの表現型から機能性の相違が考察された。2023年度中までに解析終了予定であったことから前倒しで研究計画に臨むことが可能となった。すでに、トランスクリプトーム解析、エピゲノム解析を開始しており、2023年度内において分子メカニズムに焦点を当てた研究を遂行する。また、シングルセル解析結果の研究は現在投稿中である。これらのことから、総合的観点からも研究は順調に進んでいると考えられる。コロナの影響がまだ解消しておらず、海外学会にて発表し共同研究先との研究議論の機会が得られなかったことが唯一残念であったが次年度では交流を深められるように計画する。
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今後の研究の推進方策 |
本申請研究計画は3つの研究計画を予定している。 研究計画1:非コードRNAにより制御される下流遺伝子の理解:WT/KO胚間でのRNAseqを用いたトランスクリプトーム解析と組織学解析の充実を図る。 研究計画2:非コードRNAの特異的機能の理解:biotin-Gm5563およびbiotin-Gm42917を強制発現させ心臓組織由来抽出産物から各々特異的に共役する因子群の同定を目指す。 研究計画3:Gm5563およびGm42017変異ヒトiPS細胞を用いた分化指向性の理解:変異iPS細胞の作成し心機能の生理学解析を行う。本研究は研究計画1の補填的な位置付けとして計画している。
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