研究課題/領域番号 |
22H03128
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
前川 聡 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00209363)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | ケトン体 / 糖尿病 / 老化 / 絶食 / 糖代謝 / 脂質代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病とはインスリン作用不足により生じる種々の代謝障害と定義され、その中心的役割を担うのが高血糖である。100年前にインスリンが発見されて以降、特に糖代謝の生理的役割や制御機構の理解は進み、糖尿病における高血糖に対する治療応用にまで発展した。一方、インスリンにより制御される代謝の中でも、飢餓克服に不可欠であったケトン体代謝には未知な点が多く残されており、絶食中に起こるケトン体代謝を中心とした生体変化には、我々の予期せぬ生物学的意義が隠されている可能性もある。本研究は、絶食と糖尿病におけるケトン体の新たな役割の解明を目指すものである。
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研究実績の概要 |
①ケトン体が寿命に及ぼす影響:全身のケトン体合成律速酵素Hmgcs2の欠損 (Hmgcs2-KO)、ケトン体前駆物質1,3-ブタンジオール(1,3-BD)の経口投与、低炭水化物ケトジェニック食(LCKD)がマウス生存率に及ぼす影響を検討した。Hmgcs2-KOは、青年期と中年期のマウス死亡率に影響を与えず、老年期の死亡率を上昇させた。Hmgcs2-KOマウスの血中ケトン体濃度は生涯低値であり、その寿命短縮は青年期からの1,3-BD投与によりキャンセルされた。さらに、青年期からの1,3-BD投与、LCKDが野生型マウスでも寿命延長をもたらすかを検証した結果、LCKD群マウスは、中年期以降に体重と血糖値の急激な減少を伴い、老齢期に高い死亡率を示した。一方、高齢野生型マウスに1,3-BD食、LCKDを投与した結果、1,3-BD食は高齢マウスの生存率を上昇させる一方で、LCKDは有意に死亡率を上昇させた。内因性ケトン体産生は、哺乳類の長期生存に重要な役割を果たすこと、ケトン体補充は健康寿命に影響を及ぼすが、その投与方法や健康状態より諸刃の剣として作用することが明らかとなった。 ②膵臓β細胞にはケトン体利用の律速酵素Oxct1が強発現するため、β細胞特異的Oxct1欠損マウスを作製した。今後このマウスの機能解析を行う。 ③小腸では絶食時のケトン体産生律速酵素Hmgcs2発現が増強するため、小腸特異的Hmgcs2欠損マウスを作製した。今後このマウスの機能解析を行う。 ④ケトン体とmTORC1シグナルの解析を行うため、各臓器(腎臓、肝臓、膵臓、筋肉)特異的TSC1欠損マウスを作製し、各臓器でmTORC1シグナルが活性化するマウスを作製した。今後これらのマウスにケトン体投与を行い、表現系を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた各モデルマウスの表現系解析、次年度に向けたモデルマウスの作製は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
①ケトン体とmTORC1シグナルの解析:間欠的絶食によりケトン体上昇や、ケトン体前駆物質である1,3-butanediolが各臓器でのmTORC1過剰(TSC1欠損)に伴う表現系を抑制しえるかを検討する。各臓器の表現系解析は、既報の臓器特異的TSC1欠損マウスで見られた表現系を参考に行う。 ②作製した臓器特異的Hmgcs2欠損マウス、並びに、臓器特異的Oxct1欠損マウスを24時間絶食や糖尿病モデルとし、各臓器での表現系を解析する。 ③絶食でHmgcs2あるいはOxct1の発現変化が見られた臓器(肝臓、腎臓、膵ラ氏島、小腸)におけるSingle cell RNA-seq解析を行い、絶食でケトン体代謝が変わる細胞群を同定する。 ④組織特異的Hmgcs2発現(Knock-in)マウスの作製を進め、完成次第その表現系解析を進める。
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