研究課題/領域番号 |
22H03172
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55060:救急医学関連
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
浦野 哲盟 浜松医科大学, 医学部, 特命研究教授 (50193967)
|
研究分担者 |
鈴木 優子 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20345812)
高橋 善明 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (50647386)
岩城 孝行 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (70509463)
佐野 秀人 東海大学, 医学部, 特任講師 (80623842)
吉野 篤人 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90240332)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
|
キーワード | 線溶 / 外傷 / TAFI / PAI-1 / antiplasmin / 頭部外傷 / 線溶検査法 / 血栓溶解 / 線維素溶解(線溶) / イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
線溶活性制御系の活性過剰発現に伴う重篤出血や活性発現不全に伴う血栓症が注目されている。前者の例は頭部外傷直後の制御不能出血であり病態の基盤は線溶優位の播種性血管内凝固症候群であるが、血流・血管内皮の関与も示唆される。後者の例は外傷後の晩期相に認める微小血栓形成や多臓器障害で、炎症により著増するPAI-1による線溶 shut down が原因とされる。いずれも早期の適切な介入を必要とし刻々と変化する病態を反映する適切な検査方法の確立が喫緊の課題である。本研究では線溶活性制御系の特異活性測定による総合的な迅速検査法の確立により線溶活性制御系破綻時の病態の把握と適切で適時的な介入方法の提言を試みる。
|
研究実績の概要 |
本研究では未だ詳細が不明なthrombomodulin(TM)/thrombin activatable fibrinolysis inhibitor (TAFI) 系の破綻に伴う出血病態の解析と、TM/TAFI系、plasminogen activator inhibitor type 1 (PAI-1) 及びα2Antiplasmin (α2AP) の特異活性測定による総合的な線溶活性迅速検査法の確立により線溶活性制御系破綻時の病態の把握と適切でtimely な介入方法の提言を試みることを目的とする。 1)マウス(ラット)の敗血症モデル、頭部外傷・ショック併発モデルの作成・解析に関しては、まず敗血症モデルを作成し、PAI-1 中和療法に要する tPA 投与量を検討した。それに基づき北海道大学福原グループ作成の COVID-19 感染モデルで tPA による PAI-1 活性中和効果の影響の解析を開始予定である。新規活性測定法との関連を解析し、「PAI-1 活性中和による内因性線溶活性増強による敗血症生臓器障害の改善」を目的とする治療仮説の妥当性と新規検査法の有用性を検証する。 2)線溶活性調節系の包括的な測定方法及び個々の系の特異活性測定系の確立に関しては、すでに確立し特許申請した。TM/TAFI 系の活性測定法の方法論に関して現在論文作成中である。 3)外傷患者重篤出血における線溶制御系機能不全の解析に関しては、特許申請したPAI-1 とα2AP の残存活性測定法に関して、米国ネブラスカ大学及びコロラド大学と測定法に関して守秘義務契約を交わし、共同研究で頭部外傷患者等の臨床検体を用い新規検査法の有用性の検証を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルに関しては、敗血症及び COVID-19 マウスモデルが確立でき、その解析が進んでいる。またこれらのモデルを用いて、新規測定法の評価も開始している。さらに「PAI-1 活性中和による内因性線溶活性増強による敗血症生臓器障害の改善」を目的とする治療仮説の妥当性と新規検査法の有用性の検証も開始できている。臨床検体の解析も、米国ネブラスカ大学 (Dr. Chris Barrett) 及びコロラド大学 (Dr. Hunter Moore) との共同研究開始の目処が立ち、新規測定法を用いた解析が開始できた。課題の遂行は概ね順調と評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
1)すでに確立したTM/TAFI、PAI-1 及びα2APを中心とする線溶活性調節系の包括的な測定方法のvalidation を進める。上記モデルで刻々と変化する病態におけるそれぞれの制御系の関与を解析する。 PAI-1 とα2AP の残存活性の測定法をすでに確立し特許申請した。また、TM/TAFI 系の活性測定法も確立し論文投稿準備中である。患者検体を用い、血漿中の個々のタンパク量あるいは活性値、および臨床症状との整合性を検討し、方法の妥当性を検証する。また、これらにより刻々と変化する線溶活性制御系活性の変化の把握が可能か検証する。 米国コロラド大学およびネブラスカ大学との共同研究において頭部外傷患者の検体を新規測定法での解析を進める。また浜松医大救急部を受診する外傷患者、及び救急部が関与する入院敗血症性 DIC患者(TM投与例も含む)を対象に出血症状等の臨床経過と既存凝固線溶系、内皮障害マーカー、及び新規活性測定法との関連を解析し仮説の妥当性と新規検査法の有用性を検証する。 2)北海道大学福原グループ作成の COVID-19 感染マウスモデルで tPA による PAI-1 活性中和効果の影響の解析を進める。新規活性測定法との関連を解析し、「PAI-1 活性中和による内因性線溶活性増強による敗血症生臓器障害の改善」を目的とする治療仮説の妥当性と新規検査法の有用性を検証する。またマウス(ラット)の頭部外傷・ショック併発モデルを用い、局所血管内皮傷害時の血栓形成・溶解過程と血管内皮機能及び線溶因子の動態を解析する。 3)TM/TAFI 系の活性測定法の方法論、PAI-1 とα2AP の残存活性の測定法の論文を報告する。
|