研究課題/領域番号 |
22H03216
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
小島 祥敬 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305539)
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研究分担者 |
佐藤 雄一 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00706848)
秦 淳也 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00769606)
錫谷 達夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40196895)
関根 英治 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40363759)
胡口 智之 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40791950)
赤井畑 秀則 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70644178)
星 誠二 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70813137)
松岡 香菜子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70838193)
本田 瑠璃子 福島県立医科大学, 医学部, 病院助手 (80813138)
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
片岡 政雄 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90554204)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 前立腺肥大症 / 過活動膀胱 / 補体 / 微生物 / 利尿適応 / 排尿反射 / 低活動膀胱 / 自己免疫応答 / 神経ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
前立腺肥大症や過活動膀胱および低活動膀胱などの下部尿路機能障害に対する治療は、そのほとんどが症状に対する対症療法であり、難治性症例に対する治療法も十分確立されていない。その主たる要因は、疾患の本質的な病態が十分解明されていないことである。男性下部尿路機能障害の病態把握には、前立腺肥大という形態学的・組織学的異常と、膀胱の機能的障害を同時に考慮する必要がある。私達は前立腺における自己免疫応答性インフラマソーム制御機構と、膀胱における中枢性高次脳機能・末梢性神経ネットワーク調節機構に着目して、包括的な男性下部尿路機能障害の病態把握と新規治療法の開発に向けた基礎的研究を計画した。
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研究実績の概要 |
<研究 I-1> BPHモデルラットにおける補体活性化自己抗原の同定と補体関連薬剤およびCRISPR/Casシステムを用いたFactor Bノックアウトラットにおける増殖抑制効果:Hsp90, Annexin,(β-actin, α-SMA)を自己抗原とする自己免疫反応が補体活性化を介して前立腺増殖を誘発することを明らかにした。また、Factor Bノックアウトラットを用いた前立腺肥大症モデルラットの増殖能の検討し、前立腺が小さくなることを証明した。 <研究 I-2> BPHにおける微生物の探索とインフラマソーム制御機構の解明:97例中7例(7.2%)が前立腺組織内に細菌を保有し、5種の細菌が検出された。細菌が検出された患者の前立腺組織における間質/腺管の比率は、細菌が検出されなかった患者よりも低かった(p<0.01)。細菌を有する患者の前立腺組織では、腺上皮過形成の所見が認められた。一方で排尿状態には有意差を認めなかった。 <研究 II-1> 蓄尿速度の変化に対応する排尿反射制御機構と利尿適応性の大脳責任領域における神経伝達機構の解明および遺伝子治療の可能性:11週齢SDラットに膀胱瘻を作成し、生理食塩水注入速度によってラットを2群(低速:2.4ml/h、高速:10ml/h、各群4匹)に分け、蓄尿機能に関与する脳領域(前頭前皮質、中脳水道周囲灰白質、橋排尿中枢)の、神経活動マーカー(c-fos)の発現を解析し、蓄尿速度の変化に関わる中枢神経領域を同定した。前頭前皮質(p<0.05)と中脳水道周囲灰白質(p<0.05)において低速群に比べ高速群で有意にc-fos陽性細胞数が増加したが、橋排尿中枢では有意な増加を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
<研究 I-1> BPHモデルラットにおける補体活性化自己抗原の同定と補体関連薬剤およびCRISPR/Casシステムを用いたFactor Bノックアウトラットにおける増殖抑制効果 BPHモデルラットにおける補体活性化自己抗原の同定は終了した。CRISPR/Casシステムを用いたFactor BノックアウトBPHラットの作成に成功した。 <研究 I-2> BPHにおける微生物の探索とインフラマソーム制御機構の解明 ヒト前立腺検体を用いて、微生物の検出に成功し、菌種も同定した。 <研究 II-1> 蓄尿速度の変化に対応する排尿反射制御機構と利尿適応性の大脳責任領域における神経伝達機構の解明および遺伝子治療の可能性 神経活動マーカーを用いた利尿適応性の中枢神経制御の同定に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
<研究 I-1> BPHモデルラットにおける補体活性化自己抗原の同定と補体関連薬剤およびCRISPR/Casシステムを用いたFactor Bノックアウトラットにおける増殖抑制効果 CRISPR/Casシステムを用いたFactor BノックアウトBPHラットの機能解析を行う。病理組織評価を行い補体活性とBPH発症との直接的関係を明らかにする。C1インアクチベーター製剤・MASP-1/3競合阻害薬(MAp44-fH)投与によるBPH抑制効果を検討する。 <研究 I-2> BPHにおける微生物の探索とインフラマソーム制御機構の解明 微生物を成体ラットの前立腺に移植し、NLRP3イソフラマソーム形成物質の発現機能解析と依存的サイトカインの活性の確認を行う。 <研究 II-1> 蓄尿速度の変化に対応する排尿反射制御機構と利尿適応性の大脳責任領域における神経伝達機構の解明および遺伝子治療の可能性 同定した大脳責任領域に興奮性神経毒であるイボテン酸を注入し神経細胞を破壊し膀胱への注入速度による利尿適応性への影響について評価する。
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