研究課題/領域番号 |
22H03258
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10312852)
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研究分担者 |
田渕 克彦 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20546767)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
内田 文彦 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70736008)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | p62 / 口腔がん / 口腔潜在的悪性疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
p62は我々のグループで酸化ストレスタンパク質としてクローニングした分子で、選択的オートファジーのアダプター分子として知られているが、口腔癌を含む多くの癌で発癌や進展、予後との関連が報告されている。本研究ではp62の核の局在による細胞内シグナル異常がこれらに関与するという仮説を立てて、その役割を解明するために、p62の局在に変異を加えた細胞内でのシグナルの異常の検討と、その状態を表現した遺伝子改変マウスによる動物モデルを作って解析すると同時に、ヒトの体の中で実際にその現象が起きていることを確認するために患者の口腔がんおよび前癌病変の病理標本での状態を調べる。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、p62の細胞内での局在異常によるシグナルの変化を確認するために、I.基礎的探索 1) in vitroの実験:核排出シグナル(Nuclear export signal :NES)配列にゲノム編集でミューテーションを入れて作出したΔNES p62-/-マウスより培養系に移した細胞内でのp62の核局在を共焦点レーザー解析で確認を行った。また、細胞抽出液中の可溶性画分と非可溶性画分でのユビキチンおよびp62の量をイムノブロットで確認したところ、ΔNES p62細胞では可溶性画分と非可溶性画分いずれでもp62が増加しており、非可溶性画分ではユビキチンが増大していたことを見出した。 2) in vivoの実験: p62の核局在シグナル(Nuclear localization signal : NLS)とNESに変異を加えた ΔNLSおよびΔNES p62遺伝子改変マウスの表現型の解析のために生育曲線を描いたところ有意に体重減少を認め、生存率が異常に低かった。さらに生化学検査のデータの解析から検索したところ生体内で変異が最も大きい組織を探したところ腎臓に変異を認めていた。 II. 臨床的探索として倫理審査承認後、口腔潜在的悪性疾患(OPMDs)70例を選択し、過去の病理標本のパラフィンブロックよりサンプルを収集し免疫染色を行った。医療記録から収集した臨床指標(年齢,性別,部位,飲酒歴,喫煙歴,部位)と 上皮異型の有無を調べ、さらに、核外輸送因子XPO1とYAP、Ki67 、p53の免疫染色を行った。p62については評価方法を、核内、細胞質、凝集群として分類した。OPMDsから癌化を認めた症例は6例で、これらの臨床指標および上皮異型、免疫組織学的指標とp62の核内の局在との関係の統計学的解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの進捗状況は、基礎的探索ではやや遅れが目立っているが、臨床的探索は想定以上にスムーズに進んでおり、全体としては概ね良好と考えている。 I.基礎的探索はin vitroの解析においてΔNLS、ΔNES p62遺伝子改変マウスの生体内での機能の解析に想定以上の時間がかかっている一方、p62の核内での局在が生体に及ぼす変化を解析する方法としては優れたものであり、かつ、得られる結果は示唆に富むものであるため、重点的に解析する方がより高度な結果が得られると想定されるため、当初のXPO1ノックアウトの製作にまで到達していない。 II. 臨床的探索は想定以上に順調に進んでおり、倫理審査の手続きなどの手順から、患者標本の収集、診療録からの臨床データの抽出や免疫染色の手法、病理学的評価など一連の臨床的探索が非常にスムーズに進行した。前年度までに、医療記録から臨床指標(年齢,性別,部位,飲酒歴,喫煙歴,部位)と 上皮異型の有無を調べ、OPMDs70例を収集した。p62の染色について、核内、細胞質、凝集群として分類した。また、さらに、核外輸送因子XPO1とYAP、Ki67、p53の免疫染色を行った。OPMDsから癌化を認めたものが6例あるため、臨床指標および上皮異型、免疫組織学的指標とp62の核内の局在との関係を調べることが可能となり、統計学的に解析する段階となった。結果が想定より早く得られるため、今後はほかの口腔がんの発がんのシグナルも視野に検討していく。
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今後の研究の推進方策 |
I.基礎的探索はin vivoの解析においてΔNLS、ΔNES p62遺伝子改変マウスの生体内での機能の検討に想定以上の時間がかかっている一方、p62の核内での局在が生体に及ぼす変化を解析する方法としては優れた手法であり、かつ、得られる結果は示唆に富むものであるため、この方向から重点的に解析する方がより高度な結果が得られると想定される。そのため、これらのマウスからのデータをもとに生化学的解析に重点を絞って進める。一方、XPO1がp62を核外へ排出している可能性は非常に高く必要性が高いものの、当初のXPO1のマウスについては製作にかかわる人的資源が十分でないため、XPO1についてはin vitroの実験を進めておき、ΔNLS、ΔNES p62遺伝子改変マウスの進行状況を見ながらノックアウトの製作を進める予定とする。また、ΔNLS、ΔNES p62遺伝子改変マウスから採取したデータを元に網羅的な定量プロテオーム解析を行い、ΔNESで蓄積するタンパク質の同定を行い、in vitroの解析を進める。一方、臨床的解析については、初年度に順調に進み、本年度は統計解析を行うことで、おおよその結果が出るため、さらに幹細胞と前駆細胞の増殖活性を調節するYAPの染色も加えて、発がん経路におけるHippoシグナル伝達との関与も検討を行う。さらに、可能であれば、OPMDsから対象を口腔がんに移して、p62核内、細胞質、凝集の局在と口腔がんの臨床病態の挙動についても調べる。以上の推進方策により今年度は研究を進める。
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