研究課題/領域番号 |
22H03375
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
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研究分担者 |
内山 美枝子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10444184)
黒瀬 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (40397162)
岡本 圭一郎 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50382338)
小林 琢也 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (50382635)
新井 映子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 客員教授 (90134783)
佐藤 大祐 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (70778703)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 認知症 / 高齢者 / 食支援 / 食品物性 / 嚥下 / 画像解析 / 咀嚼 |
研究開始時の研究の概要 |
認知症有病者率の増加が社会問題となり、予防因子としての食の在り方が注目されている。しかし、高齢である認知症有病者は嚥下障害を有する者が少なくなく、随意嚥下時の動作を指標とした現行評価法は指示の入りにくい認知症有病者には適応できない。そこで、日常生活を営みながらの嚥下機能評価を実現するため、センシングと画像解析技術を用いた喉頭の動きを解析するシステムを構築する。さらに、シームレス且つオーダーメイドな介護を目指し、定量性を得るための小型粘度計の実装、食選択ガイドブックの作成へと繋げ、今までにない“予防”に注力した、機能評価→食選択→安定した食提供と展開する包括的な食支援モデルを構築する。
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研究実績の概要 |
喉頭の動きを解析するシステムは、嚥下時に上下前後方向に移動する喉頭隆起の動きを非侵襲的に可視化する技術を開発の核に据えており、嚥下機能を4段階程度に分類出来ることを目標としている。昨年度は高速度カメラを導入することにより、頸部頸部に設置したマーカーを自動追跡することが可能になった。 嚥下調整食の在宅での定量的な粘度調整を可能にする小型粘度計の開発は、既存技術の改良では実現が困難な、小型化と複雑な機器操作を不要とすることを目的として、新しい概念による小型粘度計の開発を試みた。試作したのは6軸力覚センサを撹拌棒に組み込み、モーターモジュールの回転運動を直線往復運動に変換した上で、液体攪拌時に流体内に入れた検出ヘッドに加わる力を、①X軸方向 ②Y軸方向 ③Z軸方向 ④X軸の回転方向⑤Y軸の回転方向 ⑥Z軸の回転方向 の力に分解して検出する粘度計システムであった。試作した粘度計システムの有効性を検討するため、異なる濃度のニュートン流体(グリセリン)と非ニュートン流体(とろみ調整剤入り水)を対象に、開発粘度計と回転式・振動式レオメーター(MCR 702e Anton Paar)を用いて粘度計測を行い、比較を行った。その結果、①非ニュートン流体を対象とした検証では濃度の増加に伴った出力の増加が検出され、特にMxが顕著であること、②ニュートン流体を対象とした検証では高精度測定を実現するレオメーターからの計測値と開発粘度計からの計測値 (Mx) が高い相関を示すことを明らかにし、この成果を日本咀嚼学会第33回学術大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
喉頭の動きを解析するシステムについては喉頭隆起の動きを高速度カメラで記録し、喉頭の移動量や移動加速度を算出することが可能となった(デジタルデータ)。また、薄型スポンジセンサを入れたネックベルトを頸部に装着することで、喉頭の動きを2軸で測定することも可能となった(アナログデータ)。この両者の嚥下時のデータを合わせて解析することで精度向上が見込まれるが、この作業については今年度アナログ同期システムを導入し、行う必要があるが、当初想定した開発速度と同程度の成果が得られている。 小型粘度計については、昨年度から小型化を視野に入れて従来型の回転式粘度計(B型粘度計)とは全く異なる仕組み(6軸センサを埋め込んだ撹拌棒をモーター駆動で回転させる)を用いた粘度計の試作に着手し、従来の回転式粘度計と試作粘度計の回転モーメントに高い相関があることを明らかにし、成果を日本咀嚼学会第33回学術大会で発表している。こちらは当初想定したよりも前倒しで開発が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
喉頭の動きを解析するシステムについては、アナログ同期システムを導入することで、高速度カメラで記録した喉頭の移動量や移動加速度についてのデジタルデータと頸部に装着した薄型スポンジセンサからの2軸の触圧アナログデータを同期させることで精度向上を図り、日常生活を営みながら生じる嚥下を95%以上の確率で識別可能なシステムの開発を目指す。 小型粘度計については、昨年度試作した6軸センサを埋め込んだ撹拌棒をモーター駆動で回転させる仕組みをを用いた粘度計で種々の濃度のニュートン流体、非ニューロン流体を用いて、計測データを従来型の回転式粘度計のものと比較することで、その精度を検証する。 次年度から実施する食生活の実態調査については、本年度後半から調査フィールドの確保と調査項目の絞り込みなどの準備を開始する。
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