研究課題/領域番号 |
22H03526
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大和田 祐二 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20292211)
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研究分担者 |
前川 素子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50435731)
小林 周平 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (90851345)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 脂質栄養 / 脂肪酸 / ミクログリア / アミロイド / マクロファージ / 高脂肪食 / アルツハイマー病 / T細胞 / 炎症反応 / 肥満 |
研究開始時の研究の概要 |
脂質摂取の異常(あるいは脂質代謝関連遺伝子変異)と免疫異常の関連性の解析は重要なテーマである。脂肪酸の摂取により、アレルギーや自己免疫疾患病態などに影響を及ぼす可能性は栄養学的に古くから知られているが、そのメカニズム研究は進んでいない。本申請内容は、免疫疾患や腫瘍免疫に対して、出生前後の脂質栄養が成長後の免疫系の異常の要因となりえるという仮説に基づいて、未だ謎の多いアレルギー疾患の発症や重症化のメカニズム解明に向けての新たな基礎的知見の提示を目指す。
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研究実績の概要 |
肥満はアルツハイマー病(AD)のリスクファクターであるが、その分子メカニズムについては未だ議論されていない。本年度は、高脂肪食(HFD)がADマウス脳のミクログリア機能活性に及ぼす影響を検討した。In vivoでは、アルツハイマー病のモデルマウスである変異型APPノックインマウスにHFDを摂取させ、アミロイドAβ沈着とミクログリア機能に対するHFDの影響を探った。In vitroでは、MG6ミクログリアにHFDに濃縮された脂肪酸(FAs)を投与し、MG6の貪食活性とAβ受容体の発現に対するFAsの影響を探った。 その結果 生体内では、ND飼育のADマウス脳では、dense core Aβプラーク周辺に活性化したミクログリアが多く検出されたが、HFD飼育のマウス脳では、プラーク周辺のミクログリアの集積が通常食に比べて少なかった。さらに、HFDを給餌したADモデルマウスでは神経突起の萎縮と記憶障害を増強した。ミクログリアの培養細胞株を用いた検討では、オレイン酸がミクログリアにおける脂質滴の貯蔵を誘導し、Aβの取り込みとAβ取り込みに関連する種々の受容体の発現を低下させることがわかった。以上の結果は、日本免疫学会および日本解剖学会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミクログリアによる異常アミロイドタンパク質の貪食が、高脂肪食の摂取や、特定の脂肪酸環境によって変化するという重要な所見を得ることができた。脂質環境変化に伴うミクログリアの貪食能の変化をもたらすメカニズム解析についても、ミクログリア細胞株(MG6)を使っておおむね順調に進んでいる。一方で高脂肪食摂取の脳内の異常アミロイドタンパク質蓄積の変化が、モデルマウスの認知行動や、神経細胞の変性に、いかなる影響を及ぼすかについては未だ安定した結果が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
高脂肪食摂取がアルツハイマー病モデルマウスの行動変化や、長期間の神経変性に及ぼす影響について引き続き検証を行う。またオレイン酸に代表されるオメガ9系脂肪酸がミクログリアの異常タンパク質除去に果たす役割について更に検討を行う。
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