研究課題/領域番号 |
22H03585
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
太田 能 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (10272254)
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研究分担者 |
鎌田 十三郎 甲南大学, 知能情報学部, 准教授 (20304131)
Finnerty Patrick・Martin 神戸大学, システム情報学研究科, 助教 (50957628)
榎並 直子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 講師 (80628925)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 量子アニーリング / サービス構築基盤技術 / 画像情報処理 / ネットワークプロトコル / エッジコンピューティング |
研究開始時の研究の概要 |
イジングモデルで定式化された組み合わせ最適化問題を量子力学現象を利用して並列計算可能な量子アニーリング型コンピュータの通信システム最適化応用が始まりつつある。本研究はディジタル回路ハードウェアによって同様の組み合わせ最適化問題を通常環境でもオンサイトで高速求解可能なイジングマシンのユビキタス化に期待し、エッジコンピューティングアプリケーション最適化応用のための要素技術開発とテストベッド実装による有効性検証に取り組む。
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研究実績の概要 |
イジングモデルで定式化された組み合わせ最適化問題を求解可能な量子アニーリング型コンピュータを模擬したイジングマシンのユビキタス化に期待し、エッジコンピューティングアプリケーション最適化応用のための要素技術開発とテストベッド実装による有効性検証に取り組む。課題1:ソフトウェア開発を容易にするソフトウェアプラットフォームのイジングマシン・オンサイト利用拡張開発・実装、課題2:エッジアプリケーションである情報通知サービスなどのイジングマシン応用最適化技術開発、課題3:エッジアプリケーションである歩行者検出・照合技術のイジングマシン応用高速・高精度化技術開発に取り組み、テストベッドに統合実装、イジングマシン最適化の有効性を検証する。 本研究では、前述した目的を達成するために、本年度は上記3つの課題に関し、以下の内容に取り組んだ。 (課題1)EC アプリケーションとして高度交通システムを想定した情報伝搬事例をベンチマークとして作成した。加えて宣言的ルールに基づく情報伝達機構と継続的クエリとの統合をおこなった。これは、IM などの外部計算機構と EC データサービスの連携技術の在り方を検討する一方で、継続的クエリを用いたサイバー空間におけるオブジェクト関係管理が今後の EC アプリケーションにとっても重要と考えたためである。 (課題2)IM の計算サーバ実装、情報配信サービスなどの EC アプリケーションにおける組み合わせ最適化問題を整理、イジングモデル/QUBO 定式化の検討、求解可能規模・解の質・求解時間の評価を行い、IM による求解に向き不向きな問題を整理、加えて、EC 通信システム最適化に取り組んだ。 (課題3)サンプリングアルゴリズムの改良のため、本年度はUnityにより作成した歩行者の3Dモデルから歩行者画像を生成し、歩行者情報照合の学習データとしての有効性を評価、検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体的には、概ね、計画通りといえる理由は以下のとおりである。 (課題1)EC 情報・通信連携基盤を強化し、各種プロファイル情報を適切にECサーバ上の最適化ソルバ(IM)に供給する仕組みを確立するには、課題2との歩調を合わせる必要がある。このため、IM に実際にプロファイル供給を行う実装までは至っていないものの、高度交通システムを想定した EC アプリに基づく EC アプリケーションの作成、宣言的ルールに基づく情報伝達機構と継続的クエリとの統合など、重要課題において着実に成果を出すことができており、概ね順調であるといえる。 (課題2)D-Wave、Fixstars Amplify、Qalmo を導入、複数種類の IM により、求解可能規模・解の質・求解時間の評価を行い、IM による求解に向き不向きな問題を整理、加えて、EC 通信システム最適化に取り組んでおり、順調であるといえる。 (課題3)IM活用による歩行者検出・照合技術開発において、IM によるノイズ除去の原理ついて調査を行うとともに、サンプリングアルゴリズムの改良のために、本年度はUnityにより作成した歩行者の3Dモデルによる歩行者画像を生成に取り組んだ。IM 活用はこれからであるものの概ね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
前述した目的を達成するために、次年度は、以下の内容に取り組む。 (課題1)まず、EC アプリケーションにおけるデータライフサイクルを考慮したデータサービス拡張をおこなう。加えて、EC アプリケーション評価環境を作成し、クライアント数や通信頻度、ネットワーク構成に応じた通信遅延の事前予測、網羅的シミュレーションを通じたモデル化の可能性について検討をおこなう。 (課題2)前年度の検討結果を踏まえ、情報・通信連携基盤により収集可能な情報の整理と例題の設定、並びに IM による最適化問題の求解に取り組む。例えば、OpenFlow に代表される SDN(Software Defined Network)などの最適化への応用可能性について検討する。最適化問題の求解にあたっては、複数の QAC を用いることとし、QAC の実装上の違いがもたらす解の質や求解時間についても検証する。 (課題3)低解像かつノイジーな車載カメラ画像のノイズ除去および機械学習のサンプリングへの IM 応用を検討、歩行者検出・照合アルゴリズムの精度向上および高速化に取り組む。本年度は、特に、歩行者検出・照合アルゴリズムの精度向上および高速化のために、歩行者検出のアルゴリズムの改良と歩行者確率マップによる歩行者検出に取り組む。 これらの成果について、主に国内を中心として学会発表を行うとともに、国際会議への投稿も行う。
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