研究課題/領域番号 |
22H03945
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
橋本 卓弥 東京理科大学, 工学部機械工学科, 准教授 (60548163)
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研究分担者 |
道脇 幸博 東邦大学, 医学部, 客員教授 (40157540)
井尻 敬 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (30550347)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 嚥下 / 筋骨格モデル / 筋シナジー / 機能的電気刺激 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者は,加齢や神経筋疾患による認知・運動機能の低下により嚥下障害になりやすく,誤嚥性肺炎により死亡に至る場合が多い.嚥下障害の予防・改善のためには,その運動メカニズムの理解が必要不可欠であるが,嚥下を司る神経筋の役割についてはほとんど明らかになっていない. 本研究では,申請者らがこれまでに培ってきた筋骨格モデルを用いた筋活動解析と4DCTを用いた運動解析とを組み合わせることにより,嚥下運動における運動学シナジーおよび筋シナジーを調査し,嚥下運動に内在する協調構造を明らかにする.さらに,得られた結果を機能的電気刺激による嚥下機能の補助・再建技術に応用することを目的とする.
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研究実績の概要 |
320-ADCTで撮像された嚥下動画像(4DCT画像)を用いた嚥下運動の解析方法について取り組んだ.具体的には,まず,研究分担者が開発しているRoiPainter4Dを用いて,嚥下関連器官(舌骨や甲状軟骨)と食塊の領域分割を行うと共に,それらの領域を時系列に追跡できるようにした.これにより,咀嚼~嚥下に至る際の顎関節,舌骨・甲状軟骨の運動と食塊の移動との関係を調査した.また,咀嚼~嚥下間の筋活動を解析できるように,研究代表者がこれまでに開発してきた嚥下筋骨格モデルを改良し,顎関節の自由度と咀嚼筋を追加した.その結果.以下の3点の成果が得られた. ①RoiPainter4Dを用いて,4DCTの撮像データから嚥下関連器官(舌骨,甲状軟骨)領域あるいは食塊領域を指定することにより,半自動的でそれらの領域を時系列に追跡できるようにした.そして,健常者1名分の撮像データを用いて,舌骨や甲状軟骨,顎関節の運動データや食塊先端の移動軌跡を取得した. ②嚥下筋骨格モデルに顎関節の自由度と咀嚼筋を配置することにより,咀嚼中の筋活動も解析できるようにした.また,①で得られた運動データに加え,咬筋における表面筋電図の計測結果と咬合力測定結果の対応関係を求めることにより,咀嚼・嚥下関連筋の筋活動を推定した. ③①と②の結果を統合することにより,筋活動データと食塊の移動軌跡との関係を定量化することができ,咀嚼から嚥下に切り替わる際の様子を調べることができるようになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り,4DCTの撮像データを用いて,咀嚼~嚥下における各器官と食塊の運動を解析できるようになった.また,嚥下筋骨格モデルを改良し,咀嚼時の筋活動も解析できるようになった.これらのことから,本研究を推進する上での基盤を整えることができたと言える.一方,複数症例を解析するまでには至らず,一例のみの解析に留まったため,被験者間に共通するような,舌骨・甲状軟骨と食塊の運動との間に見られる協調構造を調べるまでには至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の実施状況を鑑み,2023年度では以下の2点について重点的に研究を進める. ① より多くの症例を対象として,RoiPainter4Dを用いた運動解析および筋骨格モデルを用いて筋活動解析を行えるようにする. ② ①の解析により得られた舌骨・甲状軟骨および食塊の運動データや筋活動データを基に,各運動間や筋活動間に見られる協調構造(シナジー)を調べられるようにする.
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