研究課題
奨励研究
昨今,特別支援学校においては児童生徒の障害の重度重複化,多様化等が進む中で,咀嚼・嚥下,食具の操作,食事をする際の姿勢等の課題が教育現場から多くあげられる.摂食機能は,連続した動作であるため実態把握が難しく,一方、児童生徒は摂食機能や食具の操作技能を健常児が獲得するように環境とかかわりながら自らの力で獲得し発達していくことは困難である.本研究では,摂食指導の系統立てた学習方法を自立活動の「健康の保持」「人間関係の形成」「身体の動き」等の視点から作成することとした.
摂食や食事行動に困難を示す障害のある児童生徒の摂食指導は、摂食機能が連続的に発達する複合的なものであることから教育現場において教師が実態把握、目標設定、学習展開が難しい状況にある。本研究では、実態把握と情報共有のための食事支援シート作成、活用・検討、摂食動作の細分化による学習課題の明確化とそれに対する段階的な支援方法の設定と評価、教師や保護者に対する児童生徒の困難さの理解促進、給食や家庭で実践可能な指導の選択実施、児童が持ちやすく操作しやすいスプーンの作成、試用を行った。これらの指導方法によって効果的な学習が可能となり、児童生徒の機能向上、負担軽減に繋がった。
本研究により、摂食や食事行動に困難を示す障害のある児童生徒に対する摂食指導において摂食機能と食事行動から摂食指導プログラムを作成したことで、教師自身がそのプログラムを用いて指導を行い児童生徒の困難さに対する理解の促進、適切な実態把握、目標設定、学習内容設定による効果的な学習展開が可能となり、障害のある児童生徒の豊かな食生活、更には生活の質の向上が期待され、健康で心豊かな暮らしの実現に寄与するものと考えられる。