研究課題/領域番号 |
22H04248
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
2190:物理化学、機能物性化学、有機化学、無機・錯体化学、分析化学、高分子、有機材料、無機材料化学、エネルギー関連化学、生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宍戸 理恵 東北大学, 多元物質科学研究所, 技術職員
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
440千円 (直接経費: 440千円)
2022年度: 440千円 (直接経費: 440千円)
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キーワード | TOF-SIMS / イオン化 / 検出感度向上 / マトリックス効果 / 感度向上 |
研究開始時の研究の概要 |
有機分子の可視化技術は、がんや感染症を調べるための病理診断に利用されている。飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)は、微小領域に存在する有機分子を可視化することのできる数少ない分析手法である。しかしながら、生体分子の多くは質量が大きく、低質量の分子と比較してイオン化しにくい傾向にある。そのため、これらの分子を可視化することは、困難である場合が多い。 そこで本研究では、これまで検出することのできなかった中性粒子を効率的にイオン化させるための新しい前処理の開発を行う。イオン化しにくい複数の生体分子の混在下において、個々の分子のイオン化率が最も向上する前処理条件の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
TOF-SIMS分析において、検出感度の高い有機分子と、感度の低い有機分子を評価対象として選定し、これらの混在下における、それぞれの分子の検出感度を調査した。さらにこれらの混合試料に対して、イオン化を促進させる酸を濃度を変えて添加し、個々の分子の感度が最も向上する前処理条件を探索した。 本研究により、有機分子そのものの検出感度は、複数の分子の混在化下において得られる感度と相関がないことがわかった。さらに有機分子の混在下では、分析対象の濃度に対して100-1000倍程度の添加剤を混合させることで、評価分子の感度が最も向上することが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
有機分子の可視化技術は、がんや感染症を調べるための病理診断に利用されている。本研究では、生体組織のような複数の分子が混在する分析対象に対して、個々の分子の検出感度が最も向上する前処理条件を確立することができた。 この成果により、これまで検出することが困難であった感度の低い生体分子の高感度分析が可能となった。さらに複数の分子の混在下における酸添加の効果に関する検討は、生体組織表面の有機分子の濃度分布を評価する手法へと展開できると考えられる。よって、このことから、この成果は、迅速かつ精密な病理診断の実現につながるものと期待できる。
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