研究課題/領域番号 |
22H04254
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
3110:農芸化学、生産環境農学、森林圏科学、水圏応用科学、社会経済農学、農業工学、獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
冨山 晋一 東海大学, 海洋学部博物館, 博物館学芸員
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
480千円 (直接経費: 480千円)
2022年度: 480千円 (直接経費: 480千円)
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キーワード | 深海性魚類 / サクラエビ / 駿河湾 / 標本 / 生態撮影 / 博物館 / 海洋教育 / サクラエビ漁場 |
研究開始時の研究の概要 |
駿河湾で操業されているサクラエビ漁では、様々な深海性魚類が混獲される。しかし、その魚類相やサクラエビとの生態的な関係には不明点が多いため、本研究にて知見を得ることを目的とする。駿河湾のようにサクラエビが大規模に集群する海域は極めて稀で、本種を中心とする地域性の高い生態系の解明は生物多様性研究の観点から重要である。本研究では、サクラエビ漁で混獲される魚類の標本分析に加え、その他の潜在的な捕食者を探るためにサクラエビが日中に生息する水深200~300mに水中カメラを設置し、同所的に生息する魚類を撮影する。得られた知見は、駿河湾の自然を主要テーマの1つとする東海大学海洋科学博物館の展示に反映する。
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研究成果の概要 |
サクラエビ漁で夜間に表層から採集された549標本は、ハダカイワシ科を中心に45科76種に同定された。サクラエビを捕食していたのはシギウナギなど少数の種で、個体数が極めて多い小型のハダカイワシ類等はカイアシ類などの動物プランクトンを捕食していたことから、サクラエビと餌を競合している可能性がある。一方、これらの深海性魚類はサクラエビが日中生息する水深200-300mでの撮影調査ではほぼ確認されなかった。代わりにサクラエビの捕食者として知られるオオメハタ等が頻繁に出現したほか、ユメカサゴなど潜在的な捕食者と推測されるやや大型種が複数確認された。今後、本研究成果に基づく博物館教育を実施する予定。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自然史系博物館の使命の1つは、未知なる自然の研究とその成果の教育普及により、人と自然の共存を図ることである。特に地元の自然を対象とすることは、その地域の特色を社会に広く発信する上で重要である。そのため、申請者が勤める東海大学海洋学部博物館では、地先の駿河湾に関する研究と教育を続けてきた。駿河湾には国内で唯一サクラエビが多産するが、本種と同所的に出現する深海性魚類の種組成やサクラエビとの生態的な関係についての情報は少ない。本研究により新たな知見を獲得し、海洋学部博物館でその普及に取り組むことは、学術面と教育面の両方から駿河湾特有の生態系に対する人々の理解を深められる点で意味がある。
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