研究課題
奨励研究
オシメルチニブは非小細胞肺がん患者において、1次治療より広く用いられる経口抗がん剤の1つである。その一方で、薬剤耐性化や副作用発現によって長期間飲み続けることが困難となるケースがある。サイトカインの一種であるインターロイキン6(IL-6)やIL-8は、腫瘍進行に関わり耐性化に関与する。IL-1βは、重篤な副作用である間質性肺炎の発症に関わる。これらのサイトカインには多くの遺伝子多型が存在し、この違いがどの程度治療成績に影響を及ぼすか検討する研究である。さらにオシメルチニブの血中濃度に及ぼすIL-6の影響について検討する。
サイトカインの一種であるインターロイキン-6(IL-6)の遺伝子多型が、オシメルチニブの体内動態あるいは治療効果に及ぼす影響について検討した。また、薬剤性肺炎の発症に寄与するインターロイキン-1β(IL-1β)に着目し、これらサイトカイン遺伝子多型と副作用発現との関連性について検討した。IL-6 -634C>G遺伝子多型は、オシメルチニブの治療効果の指標である生存期間と関連し、IL-6 -634C/C、C/G、G/G遺伝子多型の3群間でオシメルチニブの血中濃度に差を認めた。IL-1β -31C>T、-511C>T遺伝子多型と副作用である薬剤性肺炎との間に関連性は認められなかった。
本研究においてオシメルチニブ内服患者におけるIL-6遺伝子多型は、生存期間に影響することが分かった。これにより、内服開始前の測定により、治療効果の予測因子となる可能性がある。また、IL-6遺伝子多型間において、オシメルチニブのAUC/Dとの関連が認められた。そのため、オシメルチニブの血中濃度を変動させる要因の1つと考えられ、今後の副作用発現の機序解明に繋がることが予想される。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Investigational New Drugs
巻: 40 号: 6 ページ: 1254-1262
10.1007/s10637-022-01304-9